遺品整理費用を抑える3つのポイント

遺品整理費用を抑える3つのポイント

遺品整理とは亡くなった方が遺した品々を整理することです。
その作業はごみ処分、清掃から相続問題まで多岐にわたるため、それだけの人員と日数、費用が必要となってきます。
故人の家や部屋を片付けるとなれば、一人の生活が詰まった場所を整理するのですから、膨大な作業に追われることもあるでしょう。
また業者に依頼するとしても、各専門家にお願いすることになるので、必然的に費用も高額にならざるをえません。
特に、一般的には適正と考えられる料金だったとしても、大切な人を亡くした直後に気持ちが整理できていないまま、作業内容や見積もり金額を聞いても頭のなかが混乱するのも仕方のないことです。
人の死は、突然訪れるもの。遺品整理はそんな状況で急きょ対応しなければならないことも多いですが、だからこそしっかりと事前準備から現場作業、事後処理までこなしていく必要があります。
それこそが、業者との間で起こりやすいトラブルを回避するための手段となるのです。
業者との間で最も起こりやすいトラブル――それは「追加料金」の発生ではないでしょうか。
事前に見積もりを取っていたとしても、現場作業では業者にとっても予期せぬ出来事が起こります。すると見積もり金額プラス追加の作業料金を請求されることもありますが、なかには依頼主にとって「聞いていない」金額であったとしても、業者にとっても「聞いていない」作業が発生しているケースも多いのです。
遺品整理に関して最も多いトラブルは、こうした追加料金にまつわるものでしょう。
今回はそんなトラブルを避け、高額になる作業料金を少しでも抑えるための3つのポイントを紹介します。

1. 事前のごみ仕分けをしっかり正確に!

遺品整理の現場作業は、まず取っておく物と捨てる物の仕分けから始まり、捨てる物はごみとして処分します。
ここで依頼主が業者へ支払う費用を抑えようと、自身でごみの分別を行った場合、トラブルが起こる要因が隠れています。
それはごみの分別方法です。時おり可燃物、不燃物、小物家電などをまとめてひとつのごみ袋や段ボール箱に入れていることがあるのです。
ごみの分別方法は市区町村によって異なるので、自身で分別を行う場合は、各市区町村の役場などから分別表を取りよせ、定められた方法に従わなければいけません。
業者もごみ仕分けのプロフェッショナルであり、かつ行政の認定を受けて業務を行います。当然のことながら、ごみの分別も徹底しています。
現場ですでに整理されているごみであっても、中身がきちんと分別されていなければ、改めて業者がやり直すことになり、そのぶん見積もりよりも多くの人員と時間が必要となるため、追加料金が発生してしまうのです。
なかには依頼主が不用品(ごみ)として分けているものでも、プロの業者から見れば、その多くが資源=リサイクルに回される物であるケースも少なくありません。
もし遺品整理費用を抑えるため、少しでも自身の手で作業を行いたい場合は、ごみの分別はしっかり行ってください。
少なくとも可燃物、不燃物のほかにビン、カン、ペットボトル、プラスチック電池、小物家電(ドライヤー、懐中電灯、リモコンなど)、雑誌、衣類なども正しく分別しておきたいところです。
もしごみの量が膨大になっていれば、自分が手を付けて二度手間になるよりも、最初から業者に任せるほうが費用も安く済み、現場作業もスムーズに進むでしょう。

2. 細かい品々ほど事前に整理しておこう!

遺品整理業者は現場の下見を終えたあと、作業内容を細かく考え、見積もり金額を依頼主にお伝えします。
ここで業者に詳細を確認しておかなければ、後にトラブルにつながる要因となります。
上記のごみ分別とも関わってきますが、現場作業を進めながら新たな処分品が出てきたり、あるいは作業中に依頼主から処分品を追加すると、当然のことながら追加料金が発生しまう可能性があります。
たとえば庭の奥に倉庫があった場合、依頼主から倉庫のなかも確認してほしいと業者に伝わっているでしょうか。あるいは業者の見積もりのなかに、倉庫内の片づけ作業が入っていなければ、依頼主はそれを業者に確認しているのでしょうか?
もし事前に依頼主が倉庫の中身を把握し、業者に作業をお願いしていたら、その費用も見積もり金額のなかに含まれています。
反対に、次のような業者にとっても困るようなケースがあるようです。
2日間にわたる作業で、初日に倉庫のなかから植木鉢が数個見つかり、業者もその程度なら処分費用も請求しないと考えていました。
ところが2日目に今度は倉庫の奥にコンクリートブロックが何個もあることがわかり、改めてそれも処分することになり……。
こうした場合の対応は業者によって様々かと思います。事前にお互い確認できていないので、処分費用を請求しない業者もいるでしょう。
一方で追加料金を請求する業者ももちろん存在しますが、なかには初日に植木鉢、2日目にコンクリートブロックを各々処分するという細かい作業になってしまっているため、一緒に処分するより割高の費用を請求する悪徳業者もいます。
遺品整理費用は何かと高額なものになってしまいます。依頼主にも「これぐらい追加しても大丈夫かな……」という気持ちが生まれても仕方ありません。
とはいえ、その気持ちがトラブルを招くことがあることも知っておきたいところです。
遺品整理を業者にお願いする場合は、まず自身もどこに何があり、どれを片づけてほしいか把握しておくこと。さらに内容を細かく業者に伝え、確認し合っておくことが、トラブル回避の第一歩だといえるでしょう。

缶詰の処分は追加料金発生のもと!?

追加料金が発生しやすい処分品のひとつとして、缶詰が挙げられます。
まず現場の下見から見積もりの際、缶詰は棚の奥底に眠っており、作業を進めて行くうちに発見されるパターンが大半です。
あるいは故人がお中元やお歳暮で贈られたサラダ油の缶詰が残っていた場合、遺族からは最初「取っておいて使う」と言われます。確かにサラダ油はどの家庭でも料理の際に必ず使うものでしょうから、取っておきたくなるのも仕方ありません。
これが後から「やっぱり処分してください」と言われると大変です。もちろん、意外と贈答品のサラダ油は大量に余ってしまうことも多く、これも仕方のないことです。
ただし缶詰の処分は特殊です。缶詰は中身が入ったままでは捨てることができないので、必ずフタを開けて中身はすべて出し、中身は可燃物に、缶は不燃物もしくは資源ごみ(市区町村によって異なる)として出します。
そこで事前に「取っておく」と伝えておいた缶詰を、現場での作業中に「やっぱり処分する」と言った場合はどうなるでしょう?
認可を受けているプロとして、現場で業者がすべての缶のフタを開け、中身を取り出し、それぞれ処分することになるはずです。
缶の大きさや量に限らず、細かく膨大な作業になることもあり、追加料金が発生してもおかしくはありません。
缶詰の他にも同じ状態に陥る処分品は多数あります。事前に業者と相談しながら、取っておく物と捨てる物をはっきりと仕分けしておき、現場での作業をスムーズに進めてください。

3. 現場作業は立ち会っても業者に任せよう!

遺品整理業者に仕事を依頼する場合、できれば現場下見や作業当日は立ち会いたいところです。
なかには依頼主に無断で遺品を持ち去ったり、不当な見積もり料金を提示してくる悪徳業者もいるからです。
一方、立ち会う場合には気を付けておかなくてはらないことがあります。それは……実際の作業は業者にすべて任せたほうがいい、ということです。

 もちろん立ち会う現場では常に業者と確認し合いながら、業者からの質問にも答え、作業を進めていかなければいけません。
とはいえ、依頼主が作業に参加したり、依頼主から細かく指示を飛ばす必要はないのです。
反対に作業の参加を求めたり、何もかも依頼主に聞かないと作業が進められない業者には注意したほうがよいでしょう。おそらく作業もスムーズに進まず、予定より多くの日数がかかってしまい、そのうえ追加料金を請求されることもありえます。
正当な方法で不用品の処分作業を行えば、余分な時間も労力も人員も最小限に抑えることは可能でしょう。
そのためには、繰り返しになりますが事前に業者と、しっかり打ち合わせを行っておくことが必要なのです。

故人の家や部屋のどこに何があり、どの品を取っておくのか、もしくは処分するのか。
自身が立ち会えない場合は、下見も作業当日も業者に任せることになりますが、下見・見積もり・作業の各段階でお互いに細かく確認し合うことが、後々のトラブルを避ける最良の方法なのは言うまでもありません。
しっかりと打ち合わせを行うことができれば、あとは当日、作業を行うのみ。見積もりの時に提示された日数や時間、進行、処分内容に沿ってプロの業者が作業を進めます。
現場では予期せぬ出来事(新たな処分品が見つかるなど)も起こるため、その際は業者も依頼主に確認したうえで作業を行います。
そこで適切な対応を取れるのも、事前の打ち合わせがあってのこと。作業はできるだけプロの業者に任せてください。

依頼者が高齢者の場合、こんな出来事も……

これは「費用を抑えるポイント」ではありませんが、下見や作業の立ち会いに関して知っておいていただきたい点を紹介します。
依頼主が高齢者の場合、時に軽度の認知症を患っていることがあります。
確かに長年連れ添ったパートナーを亡くしたあと、急に認知症が進んでしまう例は多いようです。しかし同居していた家族も気づかないほどの軽度の認知症だと、現場の立ち会いを希望されるものの、実際は少し難しいといってもよいかもしれません。
業者も打ち合わせを行い、現場でも細かく確認しながら作業を進めていたにもかかわらず、作業後に当初と異なる話が出てくるケースがあるのです。例を挙げれば「捨てる」と確認し処分した後に「これが無い。取っておくと言ったのに……」といったものです。
冒頭に述べたとおり、人の死は突然訪れます。遺品整理の必要性も、突如としてやってくることが多いのも確かです。
そこでまず、たとえば親御さんが高齢になってきた際には、できるだけ生前整理を進めておいてください。また下見や作業の立ち会いには、できるだけ同行したほうがよいかと思われます。これも事後のトラブルを未然に防ぐためです。

さて、ここまで「遺品整理費用を抑えるための3つのポイント」を紹介してきました。
以上の3つのポイントは、ただ費用を抑えるためだけに必要なことではありません。
まずすべて依頼主にとってはトラブルを避けるための方法であること。そして業者にとっても現場で作業をスムーズに行うためには、大切なことばかりです。
故人が遺した品々に関することで、遺族や業者がトラブルに巻き込まれていたのでは、故人も天国で悔やまれないことでしょう。
大切な人の供養のためにも、この3つのポイントをもとに遺品整理作業を行ってください。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。