遺品整理を行う時期とは? ~ポイントは形見分けと相続

遺品整理を行う時期とは? ~ポイントは形見分けと相続

ご家族を亡くした遺族は、故人の遺品を整理する=遺品整理作業を行うことになります。
遺品整理という作業は、ただモノを整理するだけでなく、故人との別れと向き合うためのものでもあるでしょう。
ただ、遺品整理というものが知られてきたのも、ここ数年のこと。まだ遺品整理について詳しく知らないという方も多いと思います。
そこで、まず遺品整理はどの時期に行うべきなのでしょうか。また、遺品整理の際に遺族が注意すべきポイントはどのようなところでしょうか?

遺品整理の時期

遺品整理を行うタイミングとは?

遺品整理のタイミングは自分たちで決めていい?

ご家族を亡くし残された遺族は悲しみに暮れることになります。
若くして亡くなる方もいれば、高齢で人生をまっとうし亡くなる方もいますが、いずれの場合でも、ご家族を亡くし遺された家族は大きな悲しみに暮れることでしょう。
そんなつらい気持ちを抱えているなかで遺族が行わなければならないこと、それが遺品整理です。
ただ、遺品の整理をどのタイミングで行えばいいのか。
亡くなった後は、まず葬儀の準備をしなければいけません。その葬儀後に遺品整理を行うとしても、故人の法要が控えているので、法要後に遺品整理を行うべきかどうか。
そんな悩みを抱えている遺族の方も多いようです。

結論からいうと、遺品整理のタイミングに、特別な決まりはありません。いつ遺品整理を行うかは、遺族の方々で決めても問題はないのです。

特に、大切な人が亡くなった直後に、故人との想い出が詰まった遺品を整理するのは、遺族にとっては難しいことでしょう。
きっと整理中に様々な想いがこみ上げてきて、作業も進まないはずです。その場合、遺族の精神的な負担も心配されます。
このような状態で無理に遺品整理を行うよりも、少し期間を空け、気持ちも落ち着いた状態で遺品整理を行うことが理想的ではないでしょうか。

故人が賃貸物件に住んでいた場合は……

しかし、遺族の気持ちとは関係なく、早く遺品整理を行わなければならないこともあります。それはたとえば、故人が賃貸物件で一人暮らしをしていた場合です。
住民(借主)が亡くなった部屋は、早々に部屋の大家・オーナー(貸主)に対して明け渡しが必要になることもあります。
そうなると、遺族にとっては精神的につらい時期であっても、早い段階で遺品整理を行わなければいけません。そんな場合のために、遺品整理業者が存在するのです。
遺品整理業者が、遺族に代わって作業を進めることで、遺族の精神的な負担は軽減されるでしょう。
そしてプロの手によって素早く作業も終えることができます。

遺品整理業者

また、最近では「生前整理」も普及しつつあります。
自身が亡くなる前に持ち物や情報を整理しておくことで、遺族が遺品整理を行う際の負担を軽減することができるのです。
なかでも子どもが1人しかいない場合などに、子どもに負担をかけられないという思いから生前整理を行う高齢者が増えています。

このように、遺品整理・生前整理の時期は、特別なケースを除き、決まりはありません。しかし、注意すべきポイントはいくつかあります。そのポイントによって、遺品整理のタイミングも変わってくることがあるのです。

形見分けと遺品整理のタイミング

遺品整理の時期を、遺族のみの意向で決めてしまうと、トラブルを生み出す原因となってしまうこともあります。
そのトラブルとは、形見分けです。

形見分けとは、故人の遺品を遺族や親族などで分け、それぞれが故人の形見として大切に保管することです。
特に衣類は故人が身に着けていた物で、故人そのものともいえる物なので形見分けされるケースが多いようです。

もし衣類に代表されるような形見分けや、あるいは遺品の処分を遺族の意向のみで、他の親族に連絡なく行った場合、どのように感じるでしょうか。
他の親族や故人の知人も、故人の形見を欲しいと思っているかもしれません。もちろん、形見分けを望んでいない人もいるでしょう。
いずれにしても、そうした人たちに確認しないまま遺品の形見分けや処分を行うと、少しでも遺品を引き取りたかった人たちとのトラブルに発展してしまうことがあるのです。

このトラブルを回避しながら遺品整理を進めるには、どのような手順を踏めばいいのでしょうか。

形見分けのトラブルを回避するためのポイント

  • 四十九日まで遺品整理を保留する
  • まず大型の家具や家電のみを処分しておく

四十九日まで遺品整理を保留する

すぐに遺品整理を行う必要がない場合は、四十九日の法要が行われるまで遺品整理を保留にしておきます。
そして四十九日忌の法要の際に集まった親族などで形見分けを行い、後日残った衣類やそのほかの遺品を整理することで、形見分けに関するトラブルの発生を防ぐことができるでしょう。
なかには葬儀後すぐに形見分けと遺品整理を行いたい、という方もいるでしょう。
しかし、四十九日の法要を行うまでは忌中であるため、遺品を渡す行為は控えたほうがよいとされており、故人の供養のためにもできるだけ期間は守ったほうがよいでしょう。
そこで、形見分けは四十九日まで待っておく、というのが一般的な風習になっています。

まず大型の家具や家電のみを処分しておく

賃貸で明け渡しが必要など、すぐに遺品整理に取りかからなければいけない場合は、まず大型の家具や家電のみを処分しておきましょう。
食品なども形見分けしないもの(できないもの)なので処分しておきます。
そして、衣類などを一度自宅に保管しておき、四十九日の法要の際に形見分けを行うのです。残ったモノは処分したり、リサイクルショップで買い取ってもらったりします。
この方法では、遺品を一度自宅に保管することになるので、場合によってはし遺族の負担が増えてしまうこともあります。
ただし、形見分けのトラブルを防ぐためなので、注意しておきたいポイントです。

大型家具や家電の処分

相続と遺品整理のタイミング

故人の持ち家がある場合、それも遺品のひとつになります。
ところが亡くなった後、家とその中にあった品々をそのままの状態で残し、誰も住んでいない家を遺族が管理するという例もあります。
故人が生活した環境をそのまま残すことは、遺族の気持ちとしてはありがたい方法かもしれません。ところが、誰も住んでいない劣化が早まるため、周囲に迷惑をかけてしまうというデメリットもあります。
それよりも大きな問題は、いわゆる「相続」そして相続税です。

相続税とは、簡単にいえば、故人の遺産を遺族で分けた際に発生する税金です。
たとえば、故人が銀行に貯金していたお金は、死後に遺産として遺族に分配されます。この際、金額によって相続税が掛かってきます。
自宅のタンスなどから、高額の現金が出てきた場合も同様です。
同じように、遺品の中から高額のアクセサリーが見つかった場合も、相続の対象となります。もちろん相続税が掛かります。
こうした遺品は分配したあとに相続税を支払えばいい、ということではありません。

故人の遺産について

相続税のタイミングを逸してしまったら……

亡くなってから10カ月以内に遺産を分配して相続税を支払わなければ、重加算税が掛かります。つまり、より大きな金銭的な負担が掛かってしまうのです。
「遺産を見つけた日から10カ月以内」ではなく、「亡くなってから10カ月以内」というところにご注意ください。
つまり遺品を家ごと・部屋ごと、そのままにしていると、遺産にあたるものの発見が遅れてしまった結果、多くの重加算税を支払うことになりかねないからです。

また、相続税を支払わないことは脱税に当たり、法律に従って処罰されることもあります。
そんな事態を避けるために、遺産を見落とさないよう遺品整理を行い、しっかり分配するようにしましょう。
遺品の中から現金や高価なものを発見した場合、そのまま使ってしまうという人いるようですが、遺産にあたるものを勝手に使うことは認められません。
まずは弁護士や税理士などに相談をして、どのように取り扱うべきかアドバイスをもらうようにしましょう。

遺品整理業者に依頼するメリットとは

  • 肉体的・精神的な負担が軽減される
  • 形見分け・相続の相談に乗ってくれる

メリット①肉体的・精神的な負担が軽減される

高齢化社会が進んでいる日本において、高齢化が進むにつれて遺品整理の必要性も高まっていきます。
しかし、遺品整理を行う遺族も高齢者である場合が多く、自力で遺品整理を行うことができない場合もあるため、代わりに作業を行う遺品整理業者が注目を集めています。
遺品整理業者の業務内容は遺品整理の手助けをすることです。その多くは一般廃棄物などの知識や資格を持っているので、遺品の処分を全て任せることができます。
遺品には大型の物もあり、遺族が高齢であれば運搬も困難になります。しかし業者であれば運搬用のトラックなどを所持しているので、簡単に運搬を行ってもらうことができます。
また、多くの遺品整理をこなしてきている経験に基づき、遺品整理に関するアドバイスなども行います。
しかし、遺品が必要か不要かを最終的に判断するのは遺族です。遺品整理業者に仕事を依頼する際は、必ず自身の意思もしっかり伝えるようにしてください。

さらに、業者に遺品整理を依頼することで遺族が得られるメリットとしては、遺品の運搬や処分費などにおいて、自力で行うよりも負担が減る点が挙げられます。
また、遺品整理は故人の持ち物を整理するため、作業中につらい思いをしてしまい、なかなか作業が進まなかったり、正常な判断ができずに必要なものを処分してしまったりすることも考えられます。
そこで遺品整理業者が作業を行うことで、遺族の精神的な負担を軽減しながら作業が行え、必要なものを処分してしまうということもなくなるのです。

メリット②形見分け・相続の相談に乗ってくれる

形見分けを行う際、四十九日忌の際に親族などに形見分けをしますが、もし遠方に住んでいる親族がいる場合は、どのように形見分けを行うでしょうか。
多くの場合は郵送で形見分けを行いますが、梱包などにも時間がかかります。
ところが、なかには遠方への形見分けの際の郵送も手配してくれる業者もあります。

また、一般的に遺産の相続について詳しく知らないうえ、遺品整理と相続の関わりについても知識を持っていない人も多いでしょう。
遺産に含まれるものは現金やアクセサリーだけではありません。遺族はどれが遺産で、どれだけ相続税が掛かるのかを判断できません。

遺品整理業者による遺産相続のアドバイス

そんななか、遺品整理業者は遺産の相続についてもアドバイスをします。どんなものが相続の対象になるのか、しっかり教えてくれることでしょう。
遺品整理業者は遺品に関わる全てのことについて、幅広くサポートします。
遺品整理のタイミングや内容で不明な点がある場合は、無理に自力で遺品整理を行おうとせず、遺品整理業者にご相談ください。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。