遺品整理にまつわるお金 ①清掃・ごみ処分

遺品整理にまつわるお金 ①清掃・ごみ処分

遺品整理には、いくらぐらいお金がかかるのでしょうか。皆さんが最も気になるのは、やはり費用にまつわることかと思います。
ひとくちに遺品整理業者といっても、作業内容は様々です。持っている資格によって、遺品整理業者が行うこと、他の専門業者が担当するものが異なってきます。
そこでまずは遺品整理業者が最初に行う、故人の自宅(部屋)の清掃と、ごみの処分について、専門業者の料金の相場をチェックしてみましょう。

遺品整理にまつわるお金のこと 1.清掃・ごみ処分

清掃料金の基準は家の広さ

料金の相場は、あくまで目安にすぎません。
業者によって、また作業内容によって料金は大きく変わってきます。
清掃業者に依頼する際は、必ず自分で「どこからどこまで清掃してほしいのか」を事前にまとめ、業者にしっかりと伝え、見積りを取るようにしましょう。

以下は東京都内のハウスクリーニング業者が、パック料金として提示している費用の相場です。
ハウスクリーニング料金は部屋の広さが基準となり、清掃に必要な作業人員の数も関わってきます。それは同じ2LDKのマンションであっても、部屋の汚れ具合、ごみの量によって作業量が異なってくるからです。
業者に依頼する際は、必ず現場を見てもらい、見積りを取ってください。
見積りの金額と最終的な請求額に大きな開きがあったり、追加料金があまりに多いという、トラブルを避けるためです。

ではハウスクリーニング料金の相場を見てみましょう。

マンション、アパート

1R/1K20,000円~40,000円
1LDK~2LDK30,000円~70,000円
3LDK~4LDK70,000円~120,000円
5LDK以上100,000円~

一戸建て

1LDK~2LDK25,000円~100,000円
3LDK~4LDK75,000円~150,000円
5LDK以上120,000円~

こう見ても、相場と言っても大きな開きがあることがわかります。
ハウスクリーニング業者のなかには、マンション・アパート、一戸建てのいずれも「居住中」「引っ越し済み」といった区分けで料金例を挙げているところもあります。居住しているか、引っ越しているかどうかで、荷物の量や作業環境も異なります。
それだけ、作業量によっても料金が変わってくるです。

また、各業者によってパック料金に含まれる清掃の範囲も違ってくるため、上記のように費用にも大きな開きが出てきます。参考までに、いくつか個別の清掃料金の平均相場を見てみましょう。

フローリング(6畳)12,000円
エアコン14,000円
電子レンジ・換気扇13,000円
浴室15,000円
キッチン・台所21,000円
トイレ9,000円

これも平均相場ですので、汚れ具合によっては倍以上の料金がかかることがあります。
業者のパック料金があまりに安い場合は、こういった個別の清掃費用が含まれていない可能性もあり、見積りより高額な追加料金の要因ともなりますので、ご注意ください。

特殊清掃の料金相場は?

遺品整理では、特殊清掃が必要な現場もあります。
高齢者の孤独死が増加している昨今、亡くなってから遺体が発見されるまで数日経っていることも決して少なくありません。
その間、遺体の腐乱が進み、部屋に強い臭いが染み付いていることも多くなります。
遺体や放置された食べ物の周りに虫が大量発生していたり、血液・汚物が付着していることも想定されます。
それらは特殊な薬品を使用しなければ、完璧に清掃することはできません。
したがって特殊な薬品を使うことができる資格を持った業者による清掃が必要となります。これを「特殊清掃」と言い、遺品整理において欠かせない業種といえるでしょう。
次はこの特殊清掃業者の料金例を見てみます。

特殊清掃料金・総額例 55,000円~500,000円

同・内訳例
腐敗体液・汚物撤去20,000円~250,000円
害虫駆除15,000円~100,000円
消臭消毒20,000円~150,000円
個別料金例
床上の特殊清掃30,000円~
浴室の特殊清掃50,000円~
消臭・除菌30,000円~
畳の撤去3,000円~
特殊清掃作業員の人件費20,000円~

特殊清掃という名前のといり、現場によって作業内容が大きく異なるため、ハウスクリーニングよりも料金相場に開きがあることがわかります。
一方、こうした特殊清掃業者のなかには、遺品整理も合わせて行ってくれるところもあります。
その場合の料金相場は後述します。

ごみ処理は自治体に頼むか、業者に頼むか

ごみ処分の費用は、それこそケース・バイ・ケースといえるでしょう。
まず自治体のごみ回収を利用するか、回収業者に依頼するかで大きく違ってきます。

経済的な自治体のごみ回収

最も経済的なのは、無料の自治体によるごみ回収を利用することです。
ただし、もちろん各自治体のルールを守らなければいけません。
自治体によって「可燃ごみ」「不燃ごみ」「資源ごみ」などの分別の基準が異なります。
各ごみ回収曜日も決まっていますし、自治体指定の有料ごみ袋を購入しなければならない場合もあります。
また、一度に出せるごみの量に制限を設けている自治体もありますので、無料のごみ回収を利用する場合は必ず各自治体のルールを確認してください。

自治体のごみ回収を利用する場合でも、粗大ごみは有料となります。
例として東京都新宿区の粗大ごみの出し方を見てみましょう。

【新宿区の粗大ごみの出し方】

  • 粗大ごみを出す時は、有料で事前の申込みが必要となる。
    ただし家庭から出た物のみが対象。
  • 粗大ごみになるもの
    日常生活に伴って生じた大型ごみで、一辺の長さがおおむね30cmを超える家具、寝具、電気製品(家電リサイクル品以外)、自転車などが対象。大きさや重さにより回収できない場合もある。
  • 粗大ごみとして収集できないもの
    家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)とパソコンは、家電リサイクル法や資源有効利用促進法により、リサイクルが義務付けられている。自動車・オートバイ・タイヤ・ピアノ・耐火金庫などは区では収集できないので、専門業者への問い合わせが必要。
  • 粗大ごみの出し方
    1)粗大ごみ受付センターに電話またはインターネットで申し込む
    2)粗大ごみのシールを購入する
     ※ごみの大きさ・種類によって3,000円から2,000円を超えるものまで開きがある
    3)当日の朝、粗大みを出す
     ※粗大ごみにシールを貼り、受付けの際に申し込んだ場所に出す

以上のように、自治体のごみ回収は非常に経済的ではありますが、もちろんメリットもあればデメリットもあります。
ごみの量が多すぎると、同じ集合住宅の住人の皆さん、一軒家であれば近隣の方々にご迷惑をおかけすることになります。
生ごみのように、臭いが付いてまわる物はなおさらのこと。
前述のとおり、ごみの量や大きさによって回収できないものも出てきます。

ごみ回収業者の料金相場は?

そこで、自治体の認可を受けたごみ回収業者に依頼するという方法もあります。
自治体のごみ回収と異なり、回収の希望日と業者のスケジュールが合えば、すぐにごみを引き取ってくれます。
ごみ回収業者の料金は、ごみの量(運搬するトラックの台数)や作業人員によって異なります。

まずはごみの回収料金の相場は、これも1万円~5万円と開きがあります。
軽トラックに乗せることができるごみの量は、45リットルのごみ袋であれば、おおよそ70個ほどです。
ここで「軽トラック1台ぶんのごみを、作業員2人で処分してもらう」と仮定した場合の料金平均相場は
車両代4,000円+人件費7,000円+回収費40,000円=合計51,000円
という内訳になるようです。これも当然、業者によって違います。
最近は「トラックごみ積み放題」といった格安パック料金で回収を受け付けている業者もありますので、依頼する場合は複数の業者の料金を調べてみましょう。

さて、ここまでご紹介してきた作業を行う業者は、それぞれ資格を取得していなければなりません。
逆に言えば、複数の資格を持っている業者だと、これらの作業を一緒に行うことができ、料金体系も違ってきます。

遺品整理業者の料金相場は?

遺品整理業者の多くは、上記に関して全てのご相談を受け付け、見積りから遺品整理、ごみ処理まで行っています。
その費用の相場は、部屋の広さ別に見ると

1R/1K30,000円~
3DK150,0000円~
一軒家200,000円~

といった料金を考えておくと良いかと思います。
部屋の大きさやごみの量、清掃の必要性などで料金は変動していきます。

遺品整理も行っている特殊清掃業者の料金例は、特殊清掃料金に遺品整理料もプラスされるので、10万円から100万円を超えるケースまで様々です。

悪徳業者に引っ掛からないための2つのポイント

繰り返しご説明してきたとおり、遺品整理にまつわる料金は現場の状況や業者によって大きくことなります。
遺品整理業者は全国に数多くいますが、そのなかから良い業者を選び、悪徳業者に引っ掛からないための、2つのポイントをご紹介しましょう。

1)身だしなみを整え、故人を偲ぶ気持ちと、遺族への思いやりがあるか

2)見積りの中身が一括のものではなく、パートごとの詳細を出してくれるか。
 また、料金が相場に近いものかどうか

1)は遺品整理業者と、不用品回収業者との大きな違いのひとつでしょう。
不用品回収業者は、あくまで文字通り家庭の不用品を回収する業者です。
片付けの目的がごみ処理やリサイクル・リユースのみであれば、問題はありません。
しかし遺品整理となれば、対象は故人が遺した品々であり、遺族の意向に基づいて片付けていくことになります。
そこで当然、遺品整理士は身だしなみを整え、遺族にはまずお悔やみの言葉を伝え、故人への敬意を持って作業を進めます。
なかには、遺品とごみの区別もつかず、部屋にある物をいっしょくたにして次々と処理していく、心ない業者もいるようです。
それでは亡くなった方も浮かばれません。まずは相談する際の業者の対応をチェックしてみると良いでしょう。

2)について、見積りは最低でも3社から取りたいところ。
3社のなかで、他の2社と比べてあまりに安い見積りを提示してきた業者は要注意です。
安いからといって依頼すると、片付けが終わった後に「下見の時よりごみが多かった」「予想より多くの作業量になった」などと言って、高額の追加料金を請求してくる悪質な手口があとを絶ちません。

見積りは必ず業者とともに下見をし、作業パートごとの細かい料金を出してもらいましょう。
もし現場が遠方で、自身もしくは業者が下見できない時は、文章や写真などで状況を共有しておくと、トラブルは軽減できます。
詳細な内容ではなく、一括の料金のみで見積りを提示してくる業者にも注意してください。
同様に、作業後に高額の追加料金を請求してくる可能性があります。

遺品整理にかかる費用は、必ずしも安くはありませんので、まず業者選びはしっかりしておきたいところです。
悪徳業者に引っ掛からないためにも、上記の相場やポイントを参考にしてみてください。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。