生前準備

病気の治療にも身元保証人が必要? 民間の身元保証サービスとは

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病院で入院治療を受けなくてはならなくなった時、あなたには「身元保証人」になってくれる人がいますか?

保証人といえば、就職するときや賃貸住宅に入居するときに必要ですね。
就職の際にも、入社の書類に保証人が必要になります。

ところが、近年、病気になって治療を受けるときも身元保証人が欠かせないという事態が起こっているのです。
これは、なぜなのでしょうか? その実態についてみていきましょう。

身元保証人 サービス

入院も手術もできない!?

医療というのは、人の命を救うためにあるものですよね。
でも、近年、入院や手術を行うために、入院患者の容体よりも、まず身元引受人の有無が問題とされている実態があるのです。
その実例をみてみましょう。

Aさん(東京在住)の場合

ジャーナリストのAさんは、59歳のとき、道を歩いている時に脳梗塞に襲われ、救急車で病院に運ばれました。
その時点での症状はそれほど悪くはなく、すぐに手術をすればもとのように回復するレベルでした。

しかし、家族への連絡がなかなかつかず、身元保証人となる人がいませんでした。
そのため、Aさんは、すぐに手術が必要な状態であるにも関わらずそのまま放置されたのです。

ようやく家族と連絡がつき、同意書にサインをした時にはすでに遅く、手術は行ったものの、Aさんは寝たきりの状態になってしまいました。

すぐに手術が行われていれば、こんなことにはならなかったのに・・・。
家族は悔やんでも悔やみきれなかったそうです。
決して家族のせいではないのに、本人も家族も、悔やみながらの人生を生きることとなってしまいました。

Bさん(福岡在住)の場合

78歳のBさんは、がんの症状が悪化し、入院して治療を受けることになりました。
しかし、いざ入院の手続きをしようとすると、病院から「身元保証人が必要だ」と言われたそうです。

Bさんは、以前は家族3人で暮らしていたのですが、一人息子をがんで亡くし、妻は重い認知症を患って入院しているため、現状は一人暮らしでした。

ほかに身元保証人を頼めるような親戚もいないので、Bさんは「保証人を立てることはできません」と答えましたが、病院側は「決まりだから保証人になってくれる人を探してほしい」の一点張りでした。

病院 身元保証人 同意書

Bさんが「頼める人が本当にいないんだ」といくら言っても分かってもらえません。
仕方なく、Bさんは民間の身元保証を行うサービスを利用するしかありませんでした。

こんなことが本当にあるの? と思う人も少なくないでしょう。
でも、これが現在の医療の実態なのです。

受け入れ拒否の実態は?

2017年9~10月にかけて、厚生労働省研究班が患者が入院する際の、医療機関の実態について調査を行いました。

研究班は全国約6000カ所の病院・診療所を対象に調査を実施し、1291カ所から有効回答を得ています。
その中で「入院時に身元保証人などを求める」との回答は、病院では90%を超え、診療所を含めた全体では65.0%にも上りました。

保証人がいない場合でも受け入れる医療機関が大半ではありましたが、「入院を認めない」と答えた機関も8.2%存在しました。
また、「保証人がいない患者に対応する規定や手順書がある」という回答は全体の7.3%にとどまっています。

保証人に求める役割としては、

  • 入院費の支払い
  • 緊急の連絡先
  • 債務の保証
  • 医療行為の同意
  • 遺体・遺品の引き取り

という回答が挙がりました。

実は、こうした入院拒否は医師法違反に当たります。
しかし、それでも病院側が保証人を求めるのは、医療費回収への不安があるからだということがわかりました。

身元保証人 病院 医療費

また、厚生労働省の別の調査では、身元保証人がいない場合、介護施設でも約30%が入所を拒否することが明らかになっています。
少子高齢化、未婚化が加速する日本において、保証人を用意できない単身者は今後も増え続ける見通しです。
早急に、何らかの対策を講じることが必要とされています。

高まる「身元保証」のニーズ

こうした現状を受け、保証人を立てることができない人が最後の頼みの綱とするのが、身元保証サービスを行う団体や会社です。
最近ではNPO法人や公益財団法人などが身元保証引き受けサービスを行っています。

  • 身元保証のサービス内容は?
  • 身元保証サービスの問題点は?

身元保証のサービス内容は?

身元保証サービスを行う団体や会社では、入院時の身元保証のほか、見守りや買い物などの生活支援、また、亡くなったあとの遺体・遺品引き取りや葬儀などの対応を行っています。
事業者によって金額は異なりますが、第1項で例に挙げたBさんは、死後に備えた預託金を含むおよそ60万円を支払ってサービスを受け、ようやく入院できたそうです。

Bさんは、入院後、さらに「身元保証人」が必要となる場面に直面しました。がんの転移が見つかり、手術が必要だと診断されたのです。
そして今度は、手術前の説明の際、保証人に同席してもらうよう病院側に求められました。

Bさんは団体の支援員に来てもらい、医師からの手術内容の説明や、感染症のリスクなどについて一緒に聞いてもらいました。
そして、支援員は、説明を聞いたことを示す書類に身元保証人として署名。
さらには、手術には全身麻酔を伴うため、手術当日も立ち会うよう求められたのです。

身元保証人 手術 立ち会い

手術当日、サインをした支援員が立ち会うことになり、手術室に入るのを見送り、手術が終わるまで待機しました。
このように、近年、病院をはじめ、老人ホーム入所などあらゆる場面で保証人が必要とされます。
そのため、全国で90ほどある身元保証事業者は、なくてはならない存在になりつつあるのです。

身元保証サービスの問題点は?

身元保証のサービスの一番の問題点は、指導・監督する行政機関が明確でなく、運営や契約の方法は事業者任せになっていることです。
そのため、全国の消費生活センターなどには相談や苦情が寄せられているのが現状です。

紹介された団体を信頼して大丈夫か、契約時に注意すべきこと、また利用料金についてなどが主です。
最近は苦情が年間100件を超え、増加傾向にあります。

また、2017年には、一般財団法人日本ライフ協会が、会員からの預託金を流用していた事件が明るみに出ました。
同協会は、会員から計約2千万円の資金を無許可で預かったとして、出資法違反(預かり金の禁止)の疑いで、関係者3人が逮捕されています。

同協会は、2009年に設立。高齢者を中心に全国の会員約2600人から約10億円もの預託金を集めましたが、2016年1月に資金の流用が発覚しています。

身元保証人 サービス 問題点

内閣府は、2017年3月、協会の公益財団法人の認定を取り消しました。
また、大阪地裁が同年4月に破産手続きの開始を決定しています。

破産管財人によると、保全できた協会の財産は約3億円でした。
協会の代表的な契約プランは約165万円なのに対し、元会員約1900人に返還されたのは平均で約15万円ほどだったそうです。

厚生労働省の対策は?

こういった実態を受け、厚生労働省はどんな対策をしているのでしょうか。

  • 各都道府県への対策
  • サービス利用者への対策

各都道府県への対策

厚生労働省は、2018年4月、通知「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて」を発出しました。

実は、医師法(第19条第1項)では「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と規定しているのです。

そこで、厚労省は、診療を拒否できる正当な理由について「医師の不在または病気等により事実上診療が不可能な場合に限られる」ことを再確認しました。
入院診療が必要であるにもかかわらず、身元保証人等がいないことのみを理由に、医師が患者の入院を拒否することは、医師法に抵触するとの考えを明確にしたのです。

こうして、身元保証人に関する実態を各都道府県に周知し、依頼入院拒否事例に対して適切な指導を行うよう、都道府県に依頼しています。

サービス利用者への対策

また、身元保証サービス利用者に対しても対策を講じています。

サービス事業者の不正事件などを受け、厚生労働省は、2018年9月、サービス利用の際の注意点や、トラブルの際の相談窓口などをまとめた手引を作成しました。
こういったサービスの利用者は高齢者が多く、意に沿わない契約や金銭トラブルに発展することも多いため、そのような回避するのに役立ててもらうのが狙いです。

この手引きでは、利用の際の注意点として

  • 日常生活の支援や身元保証など、業者への要望を明確にすること
  • 自分の資産と照らし合わせ、費用が支払えるか、よく検討すること
  • 事業者ができないことは何かを確認し、納得した上で書面に残すこと
  • 困った時には悩みを抱え込まず、消費生活センターなどに相談すること

などをアドバイスしています。

高齢者 医療 身元保証人

さらに、認知能力などが衰えたときにもサポートが受けられるよう、誰と何の契約をしているのか書面にし、分かりやすいところに保管することも勧めています。
この手引は、介護に関する自治体の相談窓口である「地域包括支援センター」などで入手できます。


今後、ますます増え続けていくと考えられる「おひとりさま」。
近い未来の日本は、今までの社会とは全く違うものになっていく可能性が高いでしょう。
このような状況において、病院や施設、そしてこれから高齢者となっていく私たちも変わっていかなくてはならないのかもしれません。

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