新盆(初盆)はお盆と何が違うの?

新盆(初盆)はお盆と何が違うの?

日本の夏といえば、お盆ですね。仏教の伝統行事であるお盆は、過去に亡くなったご先祖さまが、年に一度、自宅に帰ってくるといわれる行事です。

そのため、お盆の時期は、帰省したりお墓まいりに行ったりする人も多いことでしょう。忙しい毎日、そして、実家から遠くに住んでいる人にとっては、お墓まいりができるのはこの時期だけということも多いかもしれません。

そんなお盆ですが、「新盆」(にいぼん)という行事があるのをご存じでしょうか。
「お盆」と「新盆」。どんな違いがあるのでしょうか、また、何か特別なことをするのでしょうか。

宗派によって作法が違う部分はありますが、一般的な「新盆」について、みていきましょう。

新盆 初盆 お盆

お盆と新盆の違いとは?

お盆 新盆

毎年、ご先祖さまの霊が家に帰ってくる行事が「お盆」です。その中に、「新盆」があります。

新盆は、「しんぼん」「にいぼん」「あらぼん」などと読みます。また、この他には「初盆」(はつぼん)という言い方もあります。
新盆とは、一般的に、故人の四十九日忌を終えて、初めて迎えるお盆のことをいいます。つまり、亡くなった方が、初めて家に帰ってくる年のお盆のことです。

お盆の時点で四十九日忌をまだ終えていない場合は、この年は新盆ではなく、翌年が新盆になります。

新盆にすることは?

新盆 提灯

お盆には、ご先祖さまの霊を迎えるため、お供えものなど様々な準備をします。

繰り返しになりますが、新盆は故人の霊が初めて家に戻って来る行事です。そのため、一般的に、通常のお盆とは少し違うものを用意する必要があります。

また、故人の好きだったものをお供えしたり、親戚からのお供えを受け取ったりなど、通常より少し早めに提灯などのお盆用品の準備を始めるとよいでしょう。

 提灯

新盆に限り、「清浄無垢の白で霊をお迎えする」という意味から、白木で作られた提灯を軒先や縁側、仏壇の前などに吊るして火をともします。

初めて家に帰って来る故人の霊は、この灯りによって迷わずに家までたどり着く、という意味があります。
この白提灯は、新盆のみに使用します。新盆が終わったら、翌年からは使わないので処分しましょう。

昔は、自宅の庭でお焚き上げをしたり、川に流したりしていたようですが、最近では環境問題からこのような処分方法は難しくなりました。

紙などに包んで可燃ごみとして処分しましょう。
気になる人は、菩提寺に持っていき供養してもらうとよいでしょう。

精霊棚(しょうりょうだな)

これは、ご先祖さまの霊を迎えるために必要な棚で、「盆棚」とも呼ばれています。
精霊棚は地域や宗派によって形態が異なりますが、一般的に仏壇の前に立て、中央にお位牌を置きます。

小さめの机を置き、白い布などを敷いてその上にお位牌などを置いてもよいですが、ない場合は、仏具店などでセットになっているものが販売されています。組み立てなども簡単なので、利用するとよいでしょう。

最近の仏壇は、棚が内蔵されているタイプのものもあります。もし新しい仏壇であれば、その棚を利用してもよいでしょう。

 お供え物

精霊棚の上には、お供え物を飾ります。
地域や宗派によっても違いますが、一般的に精霊棚に乗せるものとしては、

  1. お供え物
  2. 生花
  3. 精霊馬

この3つをメインとして飾りつけます。

参考ですが、お供え物としてよく飾られるのは、そうめん、昆布、果物など。今年とれた作物なども飾ります。

お供えする食べ物は、肉などの『生ぐさいもの』を除いた精進料理のみという地域もあります。故人の好物をお供えしたい場合は、菩提寺に確認しておくとよいでしょう。

ほおずき お供え

お花では、普通の仏花に加え、ほおずきが飾られます。
お盆の仏花といえば、ほおずきですが、なぜお盆にほおずきを飾るのでしょうか。

諸説ありますが、よく言われるのは、ほおずきの形がちょうちんに似ているから、というものです。このため、先祖が家族の元に迷わずに帰ってこられるよう、ほおずきが導いてくれると考えられていたようです。

ご先祖の霊が家族のもとに帰ってくるときは、迎え火が必要とされていますが、その代わりにほおずきがお供えされるようになりました。

もうひとつは、しめやかに行うのがお盆ですが、少々、墓前を華やかにしたいと考えた人が、ほおずきをお供えしたという説です。昔の墓前は、今と違いとても質素なもので、いろいろな物が置かれていたわけではありませんでした。

その様子を見て、ご先祖さまがせっかく帰って来るのにこれでは寂しい、にぎやかに迎えてあげたいと考えた人がいたのでしょうね。

現在は仏花も派手なものや豪華なものが多くなっていますが、もし寂しいなと感じたら、ほおずきを添えるとよいでしょう。

ろうそく、線香など

使いかけのものでも構いませんが、もし用意できれば、新しいろうそくや線香、松の割り木などを用意しておくとよいでしょう。

精霊馬

ご先祖さまを迎えるため、キュウリとナスに割り箸などで足をつけ、馬と牛をつくります。

キュウリの馬とナスの牛はご先祖さまが乗る乗り物に見立てられています。来るときは足の速い馬に乗って早く来てください、帰るときは足の遅い牛に乗ってゆっくりお帰りください、という願いがこめられていると言われています。

地域によっては、作る順番や精霊馬へ込める思いもさまざまです。
精霊馬は、精霊棚に飾る地域が多いようです。

 盆提灯

祖先の霊が迷わず家にたどり着けるように灯しておく提灯で、仏間に飾ります。

盆提灯には白無地と絵柄の入ったものの2種類がありますが、新盆の場合は白無地の提灯を使います。吊るすものだけでなく、床に置く形のものもあります。

盆提灯は、遺族の近親者から贈る地域が多いようです。ただ、近年は「御提灯代」として遺族に現金を贈り、遺族がそのお金で提灯を購入するというケースも増えているようです。

最近はさまざまな柄や電飾のものがありますので、故人の好みに合わせて、遺族が購入するのもよいでしょう。

新盆で使用した白提灯は、この年にしか使いません。お盆が済んだ後は、送り火で燃やすか、菩提寺で供養してもらいましょう。

自宅で燃やすのは難しいので、事前に菩提寺に供養してもらえるか確認しておきましょう。

新盆の流れ

新盆 お盆

お盆を迎える前に、行事に関することを確認しておきましょう。
一般的なスケジュールは、

  • 13日:迎え火
  • 14日~15日:お墓参り
  • 16日:送り火(15日に行う地域もあります)

このような日程で法要を行います。

迎え火

ご先祖様をお迎えする日です。
地域にもよりますが、ご先祖さまは夕方にいらっしゃるとされていることが多いので、午前中のうちに、仏間や仏壇の掃除、精霊棚の組み立てや飾り付け、お供え物などの準備をしておきましょう。

そして、夕方、家の前で迎え火を焚いてご先祖さまをお迎えします。地域によっては、お寺に迎えに行ったり、お墓に行ったりするところもあるようです。
わからない場合は、菩提寺に確認しておきましょう。

お墓参り

普通のお盆の場合は、家族でお墓の掃除をしたり、お参りしたりするのですが、新盆の場合は、僧侶や親族・ゆかりの人々を招いてお墓参りをします。

地域や宗派によって違いますが、墓前で読経をしてもらって供養を行い、そのあとは会食を行うことがあります。このように、新盆で法要を行う地域・宗派の場合は、前もって準備や連絡をしておきましょう。

 送り火

里帰りを終え、ご先祖様が再びあの世へ帰られる日です。
帰る日の場合も、一般的にご先祖さまは夕方帰るとされています。この時に、送り火を焚いてご先祖さまをお送りします。

2019年のお盆は?

2019年 お盆

お盆の日程は、地域によっては7月に行うところもありますが、いわゆる「お盆休み」は全国的に8月に取るのが一般的となっています。

お盆休みの期間は、8月13日から8月15日または16日までが基本です。
その前後に土曜日や日曜日があると、お休みは長くなります。さらに、2016年からは8月11日が「山の日」という祝日となったため、お盆休みはさらに長くなる傾向にあります。

今年(2019年)のカレンダーを見てみると、「山の日」は11日の日曜日なので、12日(月)は振替休日となり、10日(土)〜12日(月)までが3連休になります。

さらに、お盆休みが明けた17日、18日が土日なので、最長で9連休となるのです。
故人が亡くなってまだ日が浅い新盆は、遺品の整理などもなかなかできず、そのまま手つかずというご家庭も多いのではないでしょうか。ご先祖さまをお迎えする前に、遺品や不用品の整理・処分するにはいい機会かもしれません。

また、新盆でないご家庭にとっても、今年はゆっくりとご先祖様の供養をするいい機会です。ぜひ不用品などを整理して、きれいな状態で霊をお迎えしたいですね。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。