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子供がいない夫婦の相続でトラブル?元気なうちにしておきたい準備

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子どもがいる夫婦のうち、どちらかが亡くなったら、遺産相続はどのように行われるでしょうか。
配偶者に2分の1、残りの2分の1を子どもの人数で等分する、というのが正解です。
では、子どもがいない夫婦のどちらか1人が亡くなったとき、その遺産はどうなると思いますか?
子どもがいないんだから、配偶者が全部を相続することになる?
残念ながら、答えは違います。
では、正解は・・・?
今回は、子供のいない夫婦の遺産相続について見ていきましょう。

子供がいない夫婦

 

子どものいない夫婦の相続はどうなる?

近年、結婚をしても子供をつくらない夫婦が増えています。
実は、子供のいない夫婦の相続はとても難しい問題をはらんでいます。

遺産をもらう権利がある人は民法で定められており、これを「法定相続人」といいます。
子どもが1人でもいれば、相続人は、夫婦と子供だけの範囲で収まります。
しかし、子供がいない場合、法廷相続人の範囲は両親や兄弟にまで広がってしまうのです。
夫婦の財産は、夫婦で築き上げたもの。
普通に考えれば、夫婦とその子ども以外の人がそれをもらう権利はないように思いますよね。
でも、現在の民法では、夫婦に子どもがいない場合は夫婦の両親にも相続権が発生し、両親が死亡している場合は、夫婦の兄弟に相続権が発生すると定められているのです。
これは、この民放の規定が明治時代に作られたものだからです。
このころは、まだ兄弟間での経済的な結びつきが強い時代でした。
戦前は、兄が経済的に弟妹の面倒を見るのは当たり前であったように、兄弟間で経済的な関係があるのは普通のことでした。
そのために、兄弟間に相続権が発生してもおかしくはなかったのです。

しかし、現代においては、兄弟間でこのような経済的結びつきがあることは少なくなり、特に結婚後はまったく別の世帯になることがほとんどです。
それなのに、「兄弟間の相続権」は明治の昔から変わっていないのです。
このように、現在の民法は、時代にそぐわない部分があるのは否めません。
いつか、子供がいない夫婦の相続権は配偶者のみになるような法律改正が行われる日がくるでしょうか。

相続の基本ルールは?

相続の相談

では、相続に関する現在の基本的なルールを見ていきましょう。
人が亡くなった後、誰が相続権をもつかは、民法で定められています。
この「法定相続人」は、配偶者と血族相続人に分けられます。

配偶者

被相続人の配偶者は、被相続人が亡くなった時に生存していれば必ず相続人となることができます。
ただし、内縁の妻や内縁の夫は配偶者ではないので、一緒に生活していても相続権はありません。
逆に、長年別居していたとしても、離婚をしていなければ配偶者に相続権があります。

血族相続人

子供がいない夫婦の相続人

血族とは、簡単に言えば「血縁関係にある人」のことです。
言葉の響きからすると、血のつながった生物学上の血縁(自然血族)というイメージがありますが、このほかに、養子縁組による法律上の血族(法定血族)も含まれます。
実の親子はもちろん血族ですが、養子縁組をしている養親と養子も、血はつながっていませんが血族にあたり、法定血族も自然血族と同じように相続権を持つことができるのです。

さらに、養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」があります。
普通養子縁組では、実の親子関係を残したまま養親と親子関係を結ぶことになりますが、特別養子縁組では、実の親子関係は法律上解消され、法律上の親子関係は養親との間のみになります。
つまり、普通養子縁組による養子の場合、実親や実の兄弟姉妹等の実家側と、養親や養家の兄弟姉妹などの養家側の両方が血族となり、特別養子縁組による養子は、養家側のみが血族となります。

また、血族は、親子や兄弟姉妹などのような近親者だけでなく、親子関係と兄弟関係でつながる人は、どんなに離れていても血族にあたります。
しかし、“配偶者の血族”や“血族の配偶者”のように、婚姻関係によって成り立つ姻族は、血族ではありません。
従って相続権もありません。

子どものいない夫婦の法定相続人の範囲と順位は?

被相続人の配偶者は必ず相続権が得られるため、血族の順位について見ていきましょう。
血族相続人には優先順位が決められており、順位が高い人が死亡していたり相続を放棄したりした場合、次の順位の人が相続人となります。

1位:直系尊属

子どもや孫がいない場合、直系尊属が第1位の相続人となります。
直系尊属とは、父母や祖父母のように直通する系統の親族で前の世代の人のことです。
親等の異なる直系尊属がいる場合は、親等が小さい人だけが相続人となります。
たとえば、被相続人の父母と祖父母が健在の場合、一親等である父母が相続人となり、二親等である祖父母には相続権は回ってきません。
配偶者が3分の2を相続し、残りの3分の1を両親が等分します。

2位:兄弟姉妹

直系尊属が存命していない場合、被相続人の兄弟姉妹が法定相続人となります。
配偶者が4分の3で、残りの4分の1を故人の兄弟で等分します。

3位:兄弟姉妹の子ども

被相続人の兄弟姉妹が死亡していたり、欠格、廃除などによって相続権を失った場合には、兄弟姉妹の子(被相続人から見て甥・姪)が相続人になります。
この場合、配偶者は4分の3を相続し、残りを甥・姪が相続します。

たとえば、被相続人に兄と妹が2人いた場合を考えてみましょう。
兄は死亡していますが、子どもが2人いるような場合、まず配偶者が4分の3を相続し、残りの4分の1のうちの半分=8分の1を生存している妹が相続します。
そして、さらに残りの8分の1を死亡した兄の子供2人で等分するので、甥または姪は16分の1ずつ相続することになります。

ただし、兄弟姉妹の子が相続権を失った場合には、その子(兄弟姉妹の孫)は相続人にはなりません。

3.子どものいない夫婦の相続対策は?

子供がいない夫婦の相続について

法定相続人が決まっている以上、夫婦のどちらかが亡くなったら、法律に従って遺産を分けるしかないのでしょうか。
その対策について見ていきましょう。

遺言書を書く

縁の薄い人に財産がいかないようにするには、遺言書をきちんと書いておくのが有効です。
そもそも、被相続人は「誰にどれだけ引き継ぐか」を自由に決められるのです。
遺言に書かれた相続の内容は「指定相続分」といい、法律で決まった法定相続分よりも優先されます。
誰に何を、どのくらい相続させるかや、法定相続人以外でお世話になった人に相続させたい場合も相続分を指定できます。

しかし、まだ安心はできません。
遺言書があっても、遺言書で真に効果があるのは遺産の半分までで、法定相続人の権利(遺留分)が消えるわけではありません。
法定相続人が主張・請求すれば、残りの半分は法律に従って分与されてしまいます。
ただし、兄弟には遺留分がありません。
そのため、法定相続人が兄弟だった場合は、遺言書をつくっておけば、兄弟に相続権は発生しないのです。

生前贈与をする

夫婦で行う生前贈与

遺産を全て配偶者に渡すという遺言書があっても、親がいる場合は親に遺留分が発生します。
この対策としては、生前に財産分与をしておくのが有効でしょう。
資産を夫婦2人に分散することで、どちらかが先に死んだときの遺産額を減らしておくのです。
そうすれば、親の遺留分はゼロにはならないまでも、金額を減らすことができます。

たとえば、夫婦間の財産分与方法に「おしどり贈与」があります。
「おしどり贈与」とは、20年以上生活を共にした夫婦が、自分の名義の家や家の購入資金を相手に贈与した場合、2000万円以内であれば贈与税が課せられないという制度です。
この制度を使って家などの資産を分散しておけば、法定相続人に分けなくてはならない遺産の額はかなり減ることになります。

また、贈与税の控除を使うという方法もあります。
贈与税は、1人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。
そのため、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。
この制度を利用し、毎年110万円ずつ計画的に贈与していけば、生前に資産を譲渡できます。
もしこれを20年間続ければ、2200万円の資産を分与できるのです。

養子をもらう

かなり大胆な手ではありますが、養子をもらうという方法もあります。
血の繋がりはなくても、養子縁組をすれば、法律上は養子も実子と同様に相続の権利があります。
つまり、子供がいる夫婦と同様の扱いになり、夫婦にどちらかが死んで相続が発生すると、配偶者と養子だけが法定相続人になれるのです。
親や兄弟は、法定相続人にはなれません。

まとめ

現在の民法は、明治時代のままの精度が色濃く残っています。
そのため、子どものいない夫婦の遺産相続は、面倒なことになることが多いようです。
遺産の金額によっては、残された配偶者が自宅を売らなければ遺留分を支払えないというようなケースも出てきます。
元気なうちに夫婦でしっかり話し合い、対策を立てておきましょう。

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