故人の写真、どうしたらいい?写真の供養方法

故人の写真、どうしたらいい?写真の供養方法

「遺品整理で出てきて困るもの」とは、どんなものでしょうか。
大きいもの? 重いもの? 大量にあるもの?
処分に困るものの中で、5本の指に入るといわれるものが「写真・アルバム」です。
写真やアルバムは、大量に出てくることが多い上、故人がたくさん写った写真を処分するのに気が引けてしまうからです。
今回は、そんな写真の処分方法について見ていきましょう。

故人の写真

写真を処分する際の心構えは?

故人の遺品としての写真を見ている家族

最近であれば、スマホやデジカメで撮影する場合がほとんどですが、ひと昔前はフィルムカメラで撮って紙焼きするのが普通でした。
そのため、親御さん世代はもちろん、高齢者の遺品の中には大量の写真やアルバムがあることが非常に多いのです。
小さな紙の中で微笑んでいる顔を見ると、思い出が蘇り、捨ててしまうことが申し訳なく感じたり、悲しくなったりしてしまいます。
ですが、両親の若い頃の写真ならまだしも、見たことも会ったこともない人の写真が数多く出てくることもあるのです。
それでも、写真というものは、なかなか処分しづらいもの。
けれども、自分自身には思い入れはないし、たくさんあって保管するのも大変・・・遺された写真をどうしたらよいか、悩んでしまいますね。

でも、現実的に、全てを残しておくことはできません。
そんな時は、こんな風に考えてみてはどうでしょうか。
紙に焼いた写真は、いつか色あせてしまうものです。
デジタルデータ化してCDやDVDに残したとしましょう。
でも、これらの媒体も、紙よりは長いとはいえ寿命があります。
では、クラウドストレージに保管しておいたらどうでしょうか。
そのサービスが終了してしまったら、またデータを他のところに移さなければならなくなります。

そして、そこまでして残しても、それらの写真を日常的に見返すことはあまりないのではないでしょうか。
写真は、いつかはなくなってしまうもの・・・そう考えると、無理をしてまで写真を残しておいても仕方ないのかもしれません。

もちろん、すべての写真を1枚残らず処分しなくてはならないわけではありません。
仏壇に飾る遺影などは必要ですし、どうしても思い入れのあるものまで捨ててしまうことはありません。
けれど、そういった特別な写真を除けば、写真というものは、どうしても“必要”かつ“残しておかなければならないもの”だとは言えないのではないでしょうか。

そう考えれば、写真やアルバムを処分することに対し、罪悪感が少し軽くなるかもしれません。

写真の処分方法は?

故人が撮った写真を飾る親子

では、写真の処分の方法について見ていきましょう。

ステップ① 分類する

まず最初に、写真を分類することから始めましょう。
繰り返しになりますが、故人が残した写真だからといって、その全てが大切なものだというわけではありません。
たとえば、故人が写っていない写真など、重要度の低い写真もあるはずです。
まずは故人が残した写真を1枚1枚チェックし、残すものと処分するものに分けていきます。
たとえば、

  • 風景写真
  • 故人のみの写真
  • 家族の写真
  • 友人の写真
  • 知らない人の写真

などに分類してみましょう。
このように分類してみると、持っていたい写真と、必要ない写真が自然に仕分けられて行きます。

必要な写真は、新たにアルバムを作って保存しておきましょう。
大きなアルバムではなく、ハガキケースのようなアルバムであれば、本棚に立てておくこともでき、場所もあまり取りません。

ステップ② デジタルデータがある写真は処分する

デジカメやスマホで撮影した写真を焼いたものは、いったん捨ててしまいましょう。
データさえあれば、あとで印刷し直すことができますし、パソコンやスマホがあれば、いつでも見ることができます。
心配なようなら、USBやCDなどにバックアップしておけば、整理もしやすくなります。

ステップ③ 不要な写真を処分する

分類した結果、不要と判断した写真は、ごみとして処分しましょう。
写真は紙なので、可燃ごみになります。
ただし、アルバムのまま捨てる場合は、金具やビニールなど異素材の扱いについて、居住地区の自治体にあらかじめ確認しておきましょう。

ステップ④ 判断がつかない場合はデジタルデータ化する

どうしても捨てる決心、判断がつかない場合は、写真をデジタルデータ化しましょう。
最近、DPEショップでは、写真やアルバムを持ち込むと、1枚1枚をデジタルデータ化するサービスを行なっています。
デジタルデータ化した写真は、CDやDVDなどに焼いてもらえるので、分類も簡単になり、保管場所にも困りません。何十枚、何百枚とある写真を自分でデータ化するのは大変ですが、サービスを利用すれば、手間なくきちんと保管することができます。
また、そのデータをネット上のクラウドストレージに移しておけば、一切、場所を取ることもありません。

写真の供養

たとえいらないものであっても、写真を捨てることに対して罪悪感がどうしても拭えない人や、写真をごみとして処分することに対して抵抗がある人は、写真をお焚き上げし、供養してもらってはいかがでしょうか。

お焚き上げとは?

故人の写真のお焚き上げ

お焚き上げとは、神仏にかかわるものや、人の思いがこもったものなどを、お寺や神社などで僧侶や神主が供養し、焼却することです。

年の始め、神社やお寺に行くと「古札納め所」が設置されていますね。ここに、古いお守りやお札を納めると、小正月(1月15日ごろ)に、お世話になったお守りやお札などが一斉に燃やされ、火で清められます。
「どんど焼き」、「左義長」などと呼ばれる伝統行事です。
そして、お札だけでなく、昔愛用していたものや遺品、さらに神棚や仏壇などを火で供養して処分するのが「お焚き上げ」です。
お焚き上げも、どんど焼き同様「大切なものは、宗教的な儀礼にのっとり、炎とともに清めて処分する」という思想を受け継いでいると考えられています。
では、お焚き上げの方法について見ていきましょう。

自分で行う

お焚き上げは、自分で行うことができます。
白い布や白い紙で塩と写真を一緒に包み、燃やします。
心を込めて、手を合わせましょう。
ただし、近年、廃棄物処理法、消防法、自治体による条例などによって、自宅の庭での焚き火が禁止されている地域もあります。事前に必ず確認しましょう。

お寺や神社に依頼する

写真やアルバムをお焚き上げしてもらえる神社やお寺があります。
多くの場合、電話かメールで申し込み、予約日に持ち込むか、郵送します。
初穂料(供養料)は寺社により異なりますが、概ねみかん箱1箱で4000〜5000円程度が目安になるでしょう。
1枚からお焚き上げをしてもらえるところもありますので、問い合わせてみるとよいでしょう。
費用の相場は、3000円〜1万5千円ほど+送料です。

しかし、近年、住宅密集地にあるお寺などでは、お焚き上げができなくなっているところもあります。
近くで供養を行いたい場合は、菩提寺などで供養をしてもらったあと、通常のごみとして処分すればOKです。
費用の相場は1万円〜3万円ほど。

業者に依頼する

お焚き上げをしたいが、どこに送ればいいかわからない、という人は、お焚き上げの代行業者を利用するとよいでしょう。
写真を送るためのキット(レターサイズ、ボックスのものなど)が用意されており、中に供養したい写真やアルバムを入れて送るだけです。
費用の相場は、1500円〜1万円ほど。

遺品整理業者に依頼する

お焚き上げは、遺品整理業者でも依頼することができます。
遺品整理業者の場合、提携の寺院や神社に供養を依頼します。
各社それぞれですが、個別供養(自宅での供養)、合同供養のどちらかを選べる業者もあります。
遺品整理を依頼すると、合同供養の場合は無料であることが多いようです。

他人と合同での供養はちょっと、という場合は、自宅に僧侶を招いての供養や、個別での供養を行うこともできます。
この場合は、2万円ほど必要となることが多いようです。
遺品整理業者による供養は、方法や費用について相談することができます。
お寺や神社では、当然ながらその宗教・宗派での供養となりますが、遺品整理業者の場合、宗教・宗派についての相談が可能です。
また、費用に関しても、予算の範囲内でできる方法を相談することもできます。
さらに、写真だけでなく、さまざまなものを供養してもらえるので、相談してみるとよいでしょう。

まとめ

故人の写真を懐かしむ男性

残された大量の写真やアルバムは、よほどきちんと管理しないとカビが生えたりして不衛生です。
また、時間が経つと紙が劣化し、画像も色あせていってしまいます。
大切な写真であるほど、そんな状態になるのは悲しいことです。
思い出は心の内にとどめておき、心を込めたお焚き上げで天国の故人のもとへ返してあげるのも、よい供養になるのではないでしょうか。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。