遺品整理業者と不用品回収業者って、何が違うの?

遺品整理業者と不用品回収業者って、何が違うの?

もしも、あなたが遺品整理をしなくてはならなくなったら、どうしますか?
一人で作業できる範囲であればいいのですが、個人ではとても片付けできないほどものが多かったり、不用品が多かったりした場合、業者に依頼することを検討するかもしれませんね。
そこで、遺品整理が可能な業者を検索すると、遺品整理業者のほか、不用品回収業者にヒットします。
遺品整理業者と不用品回収業者は、どう違うのでしょうか? また、実際に作業を依頼する場合、どちらを選べばよいのでしょうか。

不用品回収業者遺と間違えられる品整理業者

遺品整理業者と不用品回収業者の違いとは?

片付けや整理をするという点から、同じようなものと捉えられがちな両者ですが、実はこんな違いがあるのです。

不用品回収業者とは?

不用品回収業者は、家庭で不用になったものの回収や処分を行う業者です。
基本的に、ものの仕分けは行わず、単に不要となったものを回収し、処分したりリサイクルをしたりする業者です。
不用品やごみは、可燃・不燃などに分別する手間がかかり、大きいものは搬出するのも大変です。
そのため、これらの作業を全て行ってくれる不用品回収業者は、引っ越しの際などに便利です。

遺品整理業者とは?

遺品整理業者は、亡くなった人が残した「遺品」を仕分けする業者です。
遺品を“残すもの”と“処分するもの”に仕分けし、処分するものは引き取り、運搬・廃棄してくれます。ここが、不用品回収業者との大きな違いです。
また、遺品整理では、遺品を単なる不用品ではなく、故人と遺族をつなぐ思い出となる大切なものとして扱う点も、不用品回収業者とは大きな違いと言えるでしょう。
さらに、捨てるものと残すものの仕分けのほか、不用品の中でも使えるものの買い取り、貴重品の探索、遺品の供養サービスなど、遺品整理業者の業務内容は多岐にわたっています。

業務内容の違いは?

一般的に、遺品整理業者と不用品回収業者は、具体的にどんな作業をしてくれるのでしょうか。

作業内容遺品整理業者不用品回収業者
仕分け×
貴重品などの探索×
不用品の回収・搬出
不用品の買い取り
遺品の供養×
室内清掃
原状回復×
特殊清掃×
ごみ屋敷への対応業者による業者による

不用品回収業者は、ほぼ「不要と決まったものを引き取り、処分する」という内容に特化した業者であると言えるでしょう。
ただし、必ずしもこの限りではなく、不用品回収業者でもさまざまな相談に乗ってくれるところもありますし、遺品整理業者も会社によって対応している内容に違いがあるので注意しましょう。

遺品整理業者の作業とは?

不用品は「要らないと決まったもの」ですが、遺品は「相続人が存在するもの」です。
ここが、遺品と不用品のもっとも大きな違いです。単なる不用品ではない「遺品」を専門に扱う遺品整理業者は、どのような作業を行っているのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。

ものの仕分け

遺品整理と不用品回収の仕分けの違い

通常、相続が行われる際は、相続人全員で分割協議を行います。
しかし、遺言書や財産の一覧のようなものがなく、何が相続できるのかわからないこともあります。
そのような場合には、手がかりになるような書類などがないか、遺品整理の際に探してもらうよう依頼します。
実際に、敷きっぱなしだった布団の間からお金が出てきたり、一見して古びた封筒の中に重要書類が入っていたというような例があります。
そのため、どんなものも見逃さないよう、小さな紙切れや封筒の中までも全て確認を行います。

次に、必要でない品として仕分けられたものの中でまだ使えるものがあれば、査定し、買い取りも行います。
こうして、買い取りにもならなかったものを、最終的に処分品(不用品)として搬出・処分します。

このように、遺品整理は、依頼者の意向を尊重しながら遺品を仕分けしていくことが重要です。
そのため、ほとんどの遺品整理業者は、遺族の立ち会いを勧めています。
遠距離など事情がある場合は立ち会いなしでも作業を行いますが、スマホなどで作業の進行を確認できるようにしている業者もあります。
なぜなら、遺品には、写真など、家族の貴重な思い出につながるものがあることが多いからです。
処分してしまえばもう取り戻すことができないため、慎重に作業を行います。
このような理由から、遺品整理業者の作業は非常に繊細であると言えるのです。

気持ちの整理

遺品整理に立ち合い気持ちの整理をする家族

また、遺族が立ち会う理由の一つに、気持ちの整理という面もあります。
何が必要かそうでないかを話しながら作業を行う中で、家族の気持ちが落ち着き、整理されていくといったことも多いようです。
特に、女性スタッフには話しやすいこともあり、近年、女性スタッフが在籍する業者や、女性のみで運営している業者も増えています。

さらに、提携の寺社による遺品の供養を行なっている業者も増えています。
自分たちでは処分に困るものや、涙を飲んで捨てなくてはならないものも、供養されることで依頼者の心が落ち着き、整理されるようです。

こうして、家の中をスッキリ片付けるだけでなく、依頼者の気持ちもスッキリさせるお手伝いをするのが、遺品整理業者なのです。

遺品整理業者と不用品回収業者、どちらを選ぶべき?

遺品整理を依頼する場合は、遺品整理専門の業者に依頼することが望ましいと言えます。
ただ、繊細な作業であるがゆえ、料金の面では不用品回収業者の方が安く済むという面もあります。
では、どんな場合に、どちらの業者を利用するのがよいのでしょうか。

不用品回収業者

すでに遺品整理が済んでおり、不用品を回収してもらうだけの状態であれば、不用品回収業者に依頼したほうが費用を抑えることができます。

  • 大型家具など、粗大ごみだけを処分してほしい
  • 膨大なごみがたまっており、とにかくごみを片付けたい
  • 少しでも費用を抑えて、故人が所有していた不用品を処分したい

このようなケースであれば、不用品回収業者を選ぶのがお勧めです。

ただし、故人が孤独死し、長く発見されなかったなど特殊清掃が必要な場合は、不用品回収業者は向いていません。

また、遺品整理には、かなりの時間と労力がかかります。
故人の住居が賃貸住宅であれば、遺品整理をする間の家賃が発生します。
また、供養をしてもらいたい品がある場合は、自分でお寺や神社に持っていかなくてはなりません。
これらの時間や費用、手間などを考えると、遺品整理の段階からプロに任せた方がお得だったという場合もあります。
状況をよく考えた上で判断しましょう。

遺品整理業者

遺品整理を一から依頼するのであれば、やはり遺品整理業者を選ぶ方がおすすめです。

  • 全てのものを遺品として大切に扱ってほしい
  • 遺品整理をどう行えばよいかわからない
  • 遠方に住んでおり、遺品整理の時間がなかなか取れない
  • 思い出の品の分け方や処分方法についてアドバイスがほしい
  • 遺品の中から市場価値のあるものを見極めてほしい

このような場合は、遺品整理業者に相談するのがよいでしょう。

また、遺品整理業者は、生前整理や形見分け、相続に関するサポート、住居の原状回復、取り壊しなどを行っています。
さらには、家族に負担をかけないよう、遺品整理の生前予約なども可能です。
遺品整理に関してトータル的なサポートが欲しい場合は、専門的な知識を持った遺品整理業者に相談するのがおすすめです。

よい遺品整理業者の選び方は?

遺品整理業者選びに悩む男性

人生の中で、不用品回収業者を利用する機会はあっても、遺品整理業者を利用する機会はなかなかないものです。
業者を選ぶ際には、どのような点に注意すればよいのでしょうか。

遺品整理士

「遺品整理士」とは、一般社団法人遺品整理士認定協会の講習から認定された人に与えられる資格です。
遺品整理をするにあたっての心構えをしっかり持ち、遺品整理に必要な知識を持った遺品整理士が在籍しているどうかを確認しましょう。

訪問見積もりを依頼する

遺品整理は、口頭やメールなどだけでは把握が難しいものです。
自宅を訪問して見積もりを行う業者を選びましょう。
実際の部屋を見ての見積もりに対応しない業者は、あとから高額請求するなど悪徳業者である可能性があります。

質問をする

わからないことはどんどん質問し、きちんと答えてくれる業者を選びましょう。
また、見積もりの内容を必ず確認し、明朗会計であるかどうかをチェックします。
オプション料金の有無についても確認が必要です。
事前確認をしておかないと、依頼後にオプション料金を加えられてしまうことがあります。

まとめ

安心できる遺品整理業者

経験豊かな遺品整理業者は、依頼主を第一に考えるため、近隣から目立たないように配慮するなど、実際の作業だけでなく、さまざまな点で心配りをしてくれます。
もし、遺品整理をしなくてはならなくなったら、まずは遺品専門の業者に相談してみましょう。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。