遺品整理で見つかった相続の書類はどう扱えばいい?

遺品整理で見つかった相続の書類はどう扱えばいい?

遺品整理の作業中には、いろいろなものが見つかります。
いわゆる「タンス預金」などの現金、貴金属、預金通帳や株券など、家族も知らない遺産が見つかることは案外多いものです。
遺産が出てくれば、相続の権利がある人たちで話し合って分割することになるわけです。しかし、遺産相続の機会というものは、人生においてそう何度もあるものではありません。一体どのような手続きをすればよいのか、また、どんな書類が必要なのか、その道のプロでない限り、詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。
今回は、相続に関する手続きと、それにまつわる書類についてご説明します。

タンス預金

「相続」をするときに必要な書類

遺産を相続する際、手続きの種類によって必要な書類は変わってきますが、ほとんどの場合に必要となるのは、「戸籍謄本」(故人&相続人全員)と「印鑑証明書」です。

  • ほぼ全ての相続に必要な書類
  • 覚えておこう「原本還付」
  • 遺言書について
  • まとめ

ほぼ全ての相続に必要な書類

相続における、ほぼ全ての手続きに必要な書類は以下の3つです。

  • 被相続人(故人)の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書

被相続人(故人)の出生から死亡までのすべての戸籍謄本/相続人全員の戸籍謄本

戸籍謄本というものは、生まれてから死亡するまでに何度か作り直されます。相続手続きにおいては、被相続人(故人)の戸籍謄本は、生まれた時点のものから最新のものまで全てが必要になります。相続人が全員そろっているかどうかを確認するために使います。

相続人全員の印鑑証明書

相続人の印鑑証明書は、相続預金の解約や相続不動産の名義書き換えを相続人全員が了解していることを証明するために提出します。発行から3カ月以内のものでなくてはなりません。

銀行預金などの手続きに必要な書類

預金通帳

銀行預金の相続手続きに必要な書類は各銀行によって異なりますが、「被相続人(故人)の預金通帳とキャッシュカード」以外は、おおむね以下のものを提出します。

預金名義書き換え依頼書

銀行に備え付けてあります。相続人全員が預金の解約に了解していることを確認するため、全員が直筆で署名し、実印を押印します。

被相続人(故人)の出生から死亡までの戸籍謄本/相続人全員の戸籍謄本

発行から3カ月以内のものが必要です。

相続人全員の印鑑証明書

発行から3カ月以内のものが必要です。押印された実印と印鑑証明書が一致していることが確認できないと、名義変更や解約を行うことができません。

相続同意書・遺産分割協議書

相続人全員が預金の解約に了解していることを確認するため、相続同意書や遺産分割協議書の提出を求められる場合があります。ただし、遺産分割協議書は、預金名義書き換え依頼書(a)を提出すれば不要とする銀行もあるようです。

不動産の手続きに必要な書類

不動産の相続登記申請は、相続の状況によって必要書類が違うことがありますが、だいたい以下のようなものを提出します。

  • 被相続人(故人)の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 固定資産税評価証明書
  • 被相続人(故人)の住民票の除票または戸籍の付票
  • 不動産を相続する人の住民票
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 相続登記申請書

自動車の相続に必要な書類

相続による自動車の名義変更は、以下の書類を用意し、管轄の陸運支局で行ないます。

  • 被相続人(故人)の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)
  • 遺産分割協議書
  • 新しく所有者となる人の住民票
  • 自動車検査証(有効期限内のもの)
  • 自動車保管場所証明書(発行から40日以内のもの)

陸運支局で、名義変更の申請書を購入します。申請書はマークシート式になっており、鉛筆で記入します。
また、手数料納付書を自動車検査登録事務所でもらい、手数料納付書に500円の自動車検査登録印紙を貼ります。印紙は売店で扱っています。
さらに、自動車税申告書を自動車税事務所でもらいます。自動車税の納付がない場合でも、申告手続きは必要です。
上記の書類をそろえて手続きをします。
このような場合は、陸運支局に新使用者の住民票と印鑑などを持っていき、「使用者変更手続き」をすればOKです。

株の相続に必要な書類

株式

株券には、上場株式と非上場株式があり、それぞれ相続の方法が異なります。
また、上場株式の場合、電子化されている株券と電子化されていない株券では、必要書類が異なってきます。

上場株式の場合

上場株式を相続するには、まず、証券口座を開設している証券会社に、被相続人(故人)が死亡したことを知らせます。そして、証券会社に、被相続人(故人)が所有していた株券の一覧と、相続手続き依頼書を発行してもらいましょう。
上場株式の相続に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 相続による株券名義書き換え依頼書
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書

現在、上場している会社の株券は全て電子化されていますので、相続には証券口座が必要です。
また、株式をすぐに現金化したい場合、故人名義のままでは売却できません。株を売るには、相続人の証券口座に移してからとなります。いずれにせよ、株式を相続するには証券口座が必要です。持っていない場合は開設しましょう。
もしも、相続する株券が電子化されていなかった場合は、証券会社に「失念救済請求書」を提出し、株券を電子化してから相続します。

非上場株式の場合

非上場株式の場合は、相続人全員で話し合い、その会社に保管されている株主名簿の名義書き換えを行います。
非上場株式であっても、相続税が発生するほどの金額(価値)の場合は、税務署によって株主名簿を確認され、書き換えられた株主名簿に従って相続税が課税されます。
そのため、非上場会社の株の相続が発生した場合、税務署にきちんと説明できるように株主名簿を整備しておきましょう。

覚えておこう「原本還付」

住民票

相続に必要な書類は、同じものをあちこちに何度も提出しなければなりません。これをいくつも発行してもらっていると、時間も手間も料金もかかってしまいます。そのため、相続に必要な書類は、できる限り「原本還付」をして使い回すとよいでしょう。

「原本還付」とは?

手続きをする際、書類の原本をそのまま提出してしまうと、担当部署がそのまま保管し、返却されません。しかし、いろいろな相続がある場合、同じ書類がいくつも必要ですよね。
そこで、書類の原本を返却してほしい場合は、その書類のコピーをとって提出することができます。すると、手続きが完了したあと原本を返却してもらうことができるのです。この手続きのことを「原本還付」と言います。
原本還付をしておくと、契約書や遺産分割協議書、承諾書など、権利の得喪に関する重要な証拠資料となる書類を手元に残しておくことができます。
住民票の写し、戸籍全部事項証明書などの各種証明書など、還付を受けて他の手続きに再使用できるので、証明書取得の手間や経費を減らすことができます。

原本還付の方法

では、原本還付の請求の仕方をみていきましょう。

原本が1ページの場合

手続き完了後に原本を返却してもらいたい書類は、原本をコピーしたものを提出します。法務局によってはコピー機がないところもありますので、あらかじめコピーしておいたほうがよいでしょう。
コピーの余白に『右は原本に相違ありません』と記入して、申請人または申請代理人が記名・押印します。法務局に備え付けの『右は原本に相違ありません』のゴム印も利用できます。

還付を希望する書類の原本は、ファイルなどにまとめて、申請書と一緒に申請窓口に提出します。

原本が2ページ以上ある場合

1ページの書類と同様に、余白に『右は原本に相違ありません』と記載して、申請人または申請代理人の印で各ページを割印します。
割印を押すのは、最初のページでも、最後のページでも、裏面でもかまいません。
割印でつながったコピーの綴りのうち、どこか1カ所に『右は原本に相違ありません』の記載があればOKです。

還付を希望する書類の原本は、ファイルなどにまとめて、申請書と一緒に申請窓口に提出します。

相続登記に添付する戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の原本還付の場合

戸籍謄本

相続登記書類に添付する故人の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)・改製原戸籍謄本・除籍謄本は、一般的に何十ページもあるので、コピーするのが大変です。
そこで、これらを原本還付してもらいたい場合は、「相続関係説明図」を作成しましょう。「相続関係説明図」は、戸籍の記載から証明できる相続関係を図式化した書類のことです。これを提出すれば、原本還付してもらうことができます。

「相続関係説明図」とは、故人と相続人との関係を示した図のことです。
ここでいう「相続人」は、故人と法定相続人の関係にある人のことです。
相続関係説明図に記載する事項は、

・故人の氏名(被相続人として記載)、生年月日、亡くなった年月日、故人の最後の住所

・法定相続人と故人との続柄、法定相続人の氏名、生年月日、現住所

です。
婚姻関係にある人とは、横の二重線(=)で繋げて夫婦関係を表します。それ以外は一本線(−)で繋げます。

原本還付できない書類

では、原本還付の請求の仕方をみていきましょう。

原本が1ページの場合

原本

手続き完了後に原本を返却してもらいたい書類は、原本をコピーしたものを提出します。法務局によっ

てはコピー機がないところもありますので、あらかじめコピーしておいたほうがよいでしょう。
コピーの余白に『右は原本に相違ありません』と記入して、申請人または申請代理人が記名・押印します。法務局に備え付けの『右は原本に相違ありません』のゴム印も利用できます。

還付を希望する書類の原本は、ファイルなどにまとめて、申請書と一緒に申請窓口に提出します。

原本が2ページ以上ある場合

1ページの書類と同様に、余白に『右は原本に相違ありません』と記載して、申請人または申請代理人の印で各ページを割印します。
割印を押すのは、最初のページでも、最後のページでも、裏面でもかまいません。
割印でつながったコピーの綴りのうち、どこか1カ所に『右は原本に相違ありません』の記載があればOKです。

還付を希望する書類の原本は、ファイルなどにまとめて、申請書と一緒に申請窓口に提出します。

割印

相続登記に添付する戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の原本還付の場合

相続登記書類に添付する故人の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)・改製原戸籍謄本・除籍謄本は、一般的に何十ページもあるので、コピーするのが大変です。
そこで、これらを原本還付してもらいたい場合は、「相続関係説明図」を作成しましょう。「相続関係説明図」は、戸籍の記載から証明できる相続関係を図式化した書類のことです。これを提出すれば、原本還付してもらうことができます。

相続関係説明図に記載する事項は、

・故人の氏名(被相続人として記載)、生年月日、亡くなった年月日、故人の最後の住所

・法定相続人と故人との続柄、法定相続人の氏名、生年月日、現住所

です。
婚姻関係にある人とは、横の二重線(=)で繋げて夫婦関係を表します。それ以外は一本線(−)で繋げます。

原本還付できない書類

原本還付は、すべての書類について行なうことができるわけではありません。以下の書類については、原本還付をすることができません。

  • 申請書(本人申請)または委任状(代理人申請)に押印した申請人等の印鑑証明書
  • 第三者の同意または承諾を証する情報に押印した者の印鑑証明書(※1)
  • 登記申請のためだけに作成された委任状(※2)
  • 登記申請当事者が作成した報告形式の登記原因証明情報
  • 資格者代理人による本人確認情報
  • 登記用に請求した固定資産評価証明書

(※1)相続の手続きに必要な遺産分割協議書などの書類に添付する印鑑証明書は、原本還付を請求することができます。
(※2)※「その登記・申請のためだけに作成された書類」は、原本還付の請求ができません。

遺言書について

相続を行う際は、故人の資産をよく調査しましょう。たとえば、ネット銀行は、多くが通帳を発行していません。また、故人が預金口座を持っていたことを家族が知らない場合が多いのです。すでに遺産を相続・分配し終わった後に、ネット銀行の口座が発見されたりすれば、遺産争いの火種になりかねません。
そこで、相続に関わる大きな書類として、「遺言書」があります。
故人が亡くなったあと、遺言書が発見されたら、すぐに家庭裁判所で検認を受けましょう。遺言書は検認を受けることで効力を持つため、封印のある遺言書を勝手に開封してはいけません。偽造などが疑われ、無効になってしまう場合があります。
検認を受けるには、遺言書の原本、湯銀書検認裁判申立書、遺言者と相続人全員の戸籍謄本が必要です。開封は相続人の立ち会いのもと行われ、有効と認められたら、遺言の内容に従うことになります。

もしも2通以上の遺言書が見つかった場合、日付の一番新しい遺言書が有効となります。内容が異なる部分があれば、新しい方の内容が有効とされます。
公正証書遺言のあとに自筆証言遺言が見つかった場合、法律上、内容が適正であれば、公正と自筆などの形式に優劣はありませんので、後に見つかったほうの遺言が有効となります。ただし、日付のない遺言や手が加えられたものは無効です。

まとめ

遺品整理

相続に関わる書類についてお話してきましたが、実際問題として、これを素人が自分で手続きをするのは至難の業といっていいでしょう。悲しみの癒えないなか、書類を揃えたりするだけで膨大な労力が必要となるからです。
そんなときは、遺品整理業者にご相談ください。法律の専門家もご紹介します。大切な人を亡くされた遺族の皆さんが、少しでも安心して相続を行えるよう、お手伝い致します。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。