お金のこと

遺品の寄付・寄贈が多くの人の役に立つ

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遺品整理の作業を行うと、まず清掃や片付けの段階で故人の品々が多く出てきます。
それらの遺品をどうするか、という選択肢として思い浮かぶのは、次のようなものではないでしょうか。

  • 家族で分ける
  • 廃棄する
  • 売却する
  • 費用を払って回収してもらう

もちろん、このうちどの手段を選択するかは遺品によって異なりますし、法律が関わってくるため選択肢がさらに限定されるケースもあります。
ただ、選択肢はこれだけではありません。「遺品を譲り渡す」という場合もあるのです。

「遺品を譲り渡す」と聞けば、たとえば家具や家電製品、貴金属類などで、遺族や他の親戚が欲しいと思うものがあれば譲る(分ける)と考えるのが一般的でしょう。
しかしそれ意外にも「遺品を譲る」こととして考えられるケースは、たくさんあります。
今回はそんなケースのなかから、代表的なものをご紹介します。

家族、親戚に譲る

最初にご紹介したケースです。
やはり故人の遺品は、まず家族で分けたり、親戚に譲ることを考えることが多いはず。
とはいえ、それは「どうしても家族や親戚で分けなければならない」というわけでもありません。
自信もそうですが、決して「押し付け」になるようなことはなく、欲しいと思われるものだけ譲り受けるようにしましょう。

リサイクルショップに持ち込む

不用品をリサイクルショップに持ち込む、と聞けば「売却する」か「費用を払って回収してもらう」と思うかもしれません。それだけではなく、リサイクルショップが無料で引き取ってくれる場合もあるので、ご注意ください。
特にリサイクルショップや不用品回収業者に関しては、複数から見積もりを取ったほうが良いでしょう。ひとつの業者から回収料金を請求された物でも、他の業者は無料で引き取ってくれるケースもあるからです。

インターネットオークションのメリット・デメリット

インターネットオークションへの出品は、普段から活用している人にとっては便利なものですが、不慣れな人にとってはトラブルのもとになる可能性もあります。
まずネットのオークションの場合は、商品の写真を撮影し、説明文を書き込み、購入者が決まれば梱包・発送に至るまで自身で行います。これはなかなか手間暇がかかる作業です。
遺品整理は人が亡くなった時、つまり突然訪れることが多いので、時間の余裕が無い場合には向かない処分方法と言えるでしょう。
さらに、オークションである限り金銭が発生します。そのため購入者からのクレームやトラブルも発生する場合もあり、慣れていない人にとっては対応も難しいものです。
他のケースにも言えることですが、やはり金銭の授受が関わってくるケースには、十分な注意が必要であることは、しっかり把握しておいてください。

施設へ寄付する

衣類や生活必需品を児童養護施設や、難病の子どもたちの治療施設へ寄付するケースもあります。生活必需品とは、この場合は家具、家電製品、布団などの寝具を指します。
寄付された品々は施設の中だけでなく、施設を卒業する人たちの新たな生活のスタートにも活用されたりします。
家具、家電製品のなかでも、現代でパソコンは特に必需品といえる物ですが、高価なため多くの施設が各サイトで寄付を募集しているのを見受けられます。

東日本大震災や熊本地震をはじめとする多くの被災地へ、衣類や生活必需品を送ることも考えられるでしょう。
しかし、自身がいらなくなったものを全て被災地へ一方的に送り、現地でも送られてきた物をもて余すといった報道も少なくはありません。これではゴミを廃棄しているのと同じことです。

何でも寄付すればいいというものではなく、まずは施設や被災地などがどんな物を求めているのかを調べる必要があります。
寄付や支援物資を受け付けている自治体や団体のウェブサイトなどで確認し、それぞれ求められている物と、譲り渡したい物が合致すれば、それぞれのルールに従って寄付するようにしてください。

海外へ寄付する

世界には、貧困にあえぐ子どもたちがたくさんいます。その子どもたちへ衣服や生活用品など物資を提供することもできます。
一方、家具や家電製品は現地で使えない物もありますし、貴金属をはじめ送ることができない物もあります。
そのような品々を換金し、生まれたお金を世界中の子どもたちのために役立てている団体も数多く存在しており、特にアジア・アフリカの子どもたちへと寄付されています。

施設への寄付とは異なりますが、皆さん『トイ・ストーリー』という映画をご存知でしょうか。
アメリカで制作されたアニメ映画で、3作目まで作られ大ヒット作となりました。
その内容は、アンディ少年の持つおもちゃたちが生きており、話をしたり自分で動いたりできるという設定で、そんなおもちゃたちの活躍を描くというストーリーです。
2017年に第4作の公開が予定されていますが、現時点で最後の作品となっている第3作のラストはとても印象に残るものでした。
アンディ少年が大人になり、大学に進むため大切にしていたおもちゃたちを手放すことになったのですが、最後は屋根裏部屋に押し込めるのではなく、捨てるのでもなく、おもちゃが大好きな少女ボニーに譲り渡したのです。
ボニーもアンディと、おもちゃを大切にすると約束しました。

これはアニメ映画だけのお話とは言い切れません。そして、おもちゃだけの話でもありません。
故人の遺品も、誰も受け取り手がない物であっても、国内外を問わずそれを欲しいと思う人や、必要としている人たちは多いはずです。結果、社会貢献に繋がることもあります。
現在は様々な支援団体がウェブサイトを公開していますので、興味がある方はぜひ検索してみてください。

美術館・博物館へ寄贈する

遺品整理の中でも対応に困るケースとして多いのは、美術品・骨董品の処分。特に故人が有名な画家・彫刻家・芸術家の作品を持っていた場合は注意が必要です。
それは、「相続問題」が関わってくるからです。高価な美術品・骨董品は、家族が相続する場合、高額の相続税が発生します。
なかには相続税があまりに高額なため、美術品・骨董品を相続し、譲り受けたものの遺族が払いきれないという場合は少なくありません。結果、売却して相続税を支払うということになることもあります。
もともと相続税というのは、故人の遺品のなかで、お金に換えることができる(資産的価値が高い)物に対して発生する税金です。その相続税を支払うために遺産を売却するというのも、なんだかおかしな話に聞こえますが……。

実際のところ、資産価値が高い美術品・骨董品は何でも相続税が発生するというイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
決してそういうわけでもなく、相続税には「3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)によって算出される「基礎控除額」が設けられています。
そのため、最低でも3,600万円以上の財産ではないかぎり、相続税を支払う必要はありません。まずは専門家に、故人の美術品・骨董品を鑑定してもらい、その価値を把握しておきましょう。

では鑑定の結果、相続する美術品・骨董品が高額なもので、かつ遺族に相続税を支払う余裕がなかった場合は、どうすればよいのか。
その美術品・骨董品を、国や地方公共団体が運営している(公営)の美術館・博物館に寄付するという方法があります。
美術品・骨董品を公営の美術館・博物館に寄付する場合は、相続税がかからないと法律でも定められているからです。

「寄付」と「寄贈」の違い

ここで「寄付」と「寄贈」の違いについても知っておく必要があるでしょう。
現代ではそれほど区別をつけず2つの言葉を並べて使う場合も多いのですが、厳密に言えば「寄付」と「寄贈」は違うものであり、この違いは税金にも関わってきます。
端的に言えば、「寄付」は公共の団体・公共事業などに無償で金銭・品物を贈ること。これは高額な美術品・骨董品だと贈与税が発生するので注意してください。
対して「寄贈」は、教育機関(学校、図書館、美術館、博物館)や医療機関に対して物品を贈ることを言います。これは相続税も贈与税も発生しません。
さらに相続品を国に寄付した場合も、相続税を支払う必要がなくなります。

国の美術品に関する税制優遇措置とは

文化庁が発表した『美術品等に係る税制優遇措置について』に記されている、「現行税制優遇措置の概要と問題点」の内容をご紹介します。

    1. 所得税

      (1)譲渡した場合の優遇措置
      個人が重要文化財又はそれに準ずる美術品等を国等に譲渡した場合は、譲渡益に対して、それぞれ非課税又は1/2課税となる。

      (2)寄付した場合の優遇措置
      個人が美術品等を国等に寄付した場合、譲渡所得はなかったものとみなされ、取得金額を所得控除として所得から控除される。ただし、控除額に上限があり、かつ当該年度のみ控除されるので、高額な美術品等を寄付した場合は控除しきれない場合がある。

    1. 法人税

      法人が、美術品を国等に寄付した場合、時価相当額が損金として所得金額の計算上控除される。

  1. 相続税

    (1)寄付の場合の優遇措置
    相続財産のうち、国等に寄付した財産については、相続税は非課税となる。

    (2)物納制度
    相続税については、金銭の納付が困難な場合で、かつ税務署長の許可を得た場合に例外的に相続財産をもって納付する物納制度が存在する。物納財産には優先順位(動産は一番低く4番目)が設定されている。
    なお、美術品等について、物納制度が適用された実例は、物納順位が後位のため、把握している限り1件となる。

(文化庁ウェブサイトより)

世界で最も有名な美術感のひとつ、 フランス・パリのルーブル美術館

バブル期を頂点に海外から多くの美術品が日本に流入するも、数多くの品々が私蔵されており、一方で美術館の増加や美術品への関心の高まりに対し、美術館のコレクションが十分でない、と文化庁は現状について説明しています。
そこで美術品の保護のためにも、税制を活用することで、美術品の寄付・寄贈を進めていくことを今後の検討課題としているのです。

とはいえ、全ての美術品・骨董品を美術館・博物館が受け入れてくれるわけではありません。全く価値のない物まで寄付・寄贈を受け入れてはキリがないわけです。
一方で、多くの美術館・博物館は、コレクションのほとんどを、こうした寄付・寄贈に頼っているのが現状です。
もし故人の遺品のなかにこうした高額の美術品があった際は、遺族も税制を確認のうえ活用してみることをお勧めします。

バザーに出品する

ここでいうバザーとは、学校などを中心に、個人の不用品を持ち寄って競売にかけ、その収益を寄付する行為を指します。
一般の企業・店舗が行っている「バザー」は、これとは異なります。
小学校・中学校時代に、学校の体育館などで行われたバザーを覚えている人も多いのではないでしょうか。
バザーではPTA主催で各家庭から価値のある不用品が無料で集められ、販売した収益で子どもたちのための品々を購入し、学校に寄付されたりします。
これは学校に限ったことではなく、特に海外では不用品を販売し、売り上げを慈善活動に使うことも多いのです。

遺品とは、故人の歴史と想いが詰まったもの。きっと故人も自分が遺した物が、多くの人の役に立つのであれば嬉しいはずです。
鑑定や法律が関わること、また寄付・寄贈する団体などについては、専門家の知識も必要になってくるかと思います。
各専門家・専門業者で相談を受け付けていることも多いので、ぜひ活用してみてください。

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