供養につい

遺品整理と日本人形

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故人の遺品は、多岐にわたります。遺族にとっては、対応や処分に困る物も出てくることでしょう。

そんな処分に困るものに、仏壇や数珠といった仏教にまつわる品々、あるいは他の宗教でもどうやって処分すればいいかわからない宗教物があります。
あるいは人形など、故人の想いが詰まっていて、なかなか捨てるのがしのびない物など……。
詳しくは「遺品整理で処分に困るもの」「遺品整理の供養と宗教物の処分」をご覧ください。

USJのホラー・アトラクションで……

さて、最近ひとつの話題が世間を騒がせています。それは大阪USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)が行っているホラー・アトラクション「祟(TATARI)~生き人形の呪い~」です。
2016年のハロウィンシーズンの新アトラクションとして、9月10日から11月6日の間、多くの日本人形が「恐怖の対象」として並べられていることが、各方面で波紋を呼んでいるのです。

まずはこの「祟(TATARI)~生き人形の呪い~」というアトラクションの詳細を見てみましょう。
USJ公式サイトには、次のような説明が掲載されています。

まだ、生きてる。
不気味な廃村の奥に現れる、朽ち果てた神社。そこに安置されるのは、怨念の宿る“生きた人形”――。
奇怪な現象が次々と降りかかる中、呪いを沈めるため暗闇に眠る人形を探しだす、恐怖の道のりが今、始まる。

注意事項
・呪いや祟りなど奇怪な内容を含むため、小学生以下の体験はご遠慮ください
・精神的および心理的な恐怖、ストレスに耐性のない方、ホラー・コンテンツが苦手な方は、年齢に関わらず体験をおすすめしません
・このアトラクションに関連して生じる可能性のある、いかなる性質および内容の障害や損害についても、当社はその責任の一切を負いません

……と、ものすごく恐怖を煽るような文面とともに、日本人形が目から血を流している画像が掲載されており、きっとホラー・アトラクションのファンにとっては興味をそそるものでしょう。
実際、多くのテレビ番組で紹介されていましたが、それはそれは怖いアトラクションに仕上がっています。
ところが、このアトラクションについて意外な事実、さらには抗議が寄せられたというのです。

日本人形協会と淡嶋神社とは?

まず週刊誌上に、神社に祈祷料5000円を支払って奉納した雛人形が、このアトラクションに無断使用されているという、50歳女性の告発が掲載されました。
続いて10月18日、日本人形協会がUSJと和歌山県の淡嶋神社に抗議文を送ったことを発表しています。

日本人形協会とは、正式名称は「一般社団法人日本人形協会」といい、会員加盟店数は400社近くにのぼります。その事業内容は「日本人形類に係る関連産業の発展を図り、我が国伝統工芸産業の振興と、国民生活の文化的向上に寄与することを目的としている」とのこと。
さらに、公式サイトには「消費者保護活動」として、「消費者に誤解を招く恐れのある宣伝販売をする業者に対し、健全なる販売をする様指導する」とあります。
つまり、今回USJのアトラクションで見られるような使用方法は、消費者に対して「日本人形は怖いもの」というイメージを植え付け、それは日本人形に対する誤解を招くというものだということでしょう。

和歌山県和歌山市加太・淡嶋神社

もうひとつ、淡嶋神社は日本全国の約1000の系統神社を持つ、和歌山では屈指の歴史を誇る神社です。
特に人形供養の神社として有名で、境内には供養のために収められた多数の人形が並べられています。
さらに針供養の神社としても知られており、毎年2月には全国から集められた針を供養する「針祭」が行われています。

日本人形協会が、USJと淡嶋神社に送った抗議文は、日本人形協会公式サイトでも公開されています。その内容は主に次のとおりです。

・今回の日本人形の扱いは、日本人形について誤った負のイメージを一般に強く植え付けるもので、ひいては日本人形に関連する業者や職人に対する営業妨害である
・日本人形は業者が精魂込めて創作したものであり、今回のような用途で使用することは、職人の人格的利益を害する
・淡嶋神社が人形供養を依頼した方々に対して、アトラクションでの使用について個別に承諾を得ているとは考えられず、神社としても問題がある使用方法ではないか

報道によれば、淡嶋神社はたとえば「日本人形の髪が伸びる」といった心霊現象をもとにした“心霊スポット”としても人気がある一方で、かねてから日本人形協会は淡嶋神社に対して、そのような心霊現象をもとにしたアピールを控えるよう、依頼していたようです。
さらに今回、USJのホラー・アトラクションに、淡嶋神社が供養のために集められた日本人形を貸し出しているということも、問題として取りざたされています。

USJ側は日本人形協会からの抗議文に対し、「抗議には法的な根拠があるとは認められず、アトラクションは会期中このまま続ける。(抗議文は)貴重な意見として参考にしたい」としていますが、この騒動は果たしてどのような決着をみるのか。
今後の動向に注目が集まります。

故人の人形は「人形供養」を!

人形の供養は、遺品整理においてもはずすことのできない案件です。
もともと日本人形のみならず、人形には「持ち主の魂がこもる」と言われています。
特に亡くなった方が高齢であれば、日本人形が家に置かれていることも多いでしょう。
アパート・マンション住まいの方が多く、したがってそれだけ大きな物を置く場所がない現在からは想像できないかもしれませんが、やはり地方や高齢のご両親が住む実家には、昔ながらの日本人形や雛人形が並んでいることも、少なくはありません。

現在40歳以上の方であれば、昔イタズラをすると、親に怒られたあと日本人形が飾ってある部屋に連れて行かれた経験があるのではないでしょうか。
また、現在の若い人は逆に、「人形の部屋には入らないように」と言われることもあるそうです。
それはやはり、「人形には持ち主の魂がこもる」という言い伝えが影響しているのでしょう。
結果、日本人形に関する心霊現象や、果てはホラー・アトラクションに用いられることにつながったとも言えるのですが……。

ちなみにこの淡嶋神社には日本人形や雛人形だけでなく、フランス人形も多数、供養のために預けられています。
古いものであればあるほど、故人の人形に対する想いも大きなものでしょう。
それゆえ、遺品を片づけるうえで、人形などはなかなかゴミとして処分しづらいものです。
故人の気持ちを大切にするためにも、遺品整理で出てきた人形は、ただ処分するだけでなく「人形供養」が勧められます。

「人形供養」とは、どんなことを行うのでしょうか。そこで日本人形協会の公式サイトから、その内容を引用します。

人形感謝(供養)代行サービス
「人形感謝祭」では、皆様が大切にしてきたお人形を感謝の気持ちを込めてご祈祷し、お見送りいたします。
昔から日本人にとって、人形は単なる飾りものや遊び道具ではなく、常に生命あるものとして扱われてきました。
お子さまが成人・独立されて不用になったり、壊れたりするなど、役目を終えた人形やぬいぐるみは、感謝の気持ちを込めて丁寧に供養してあげたいものです。

実際の「人形供養」の内容は、行われる神社によって様々です。同じく日本人形協会公式サイトで紹介されている例としては、
・鯉のぼりや人形など約1500体を前に、約20人の僧侶の独協による感謝祭法要が営まれる。
・全国から集められた人形類約8500体が、人形殿内に納められ、祓い清められる。人形殿では月次供養祭を斎行し、人形の御霊は「ひとがた」と呼ばれる形代に遷し鎮魂され、供養祭にて一部の人形とともに焚き上げられる。
というものがあります。
日本人形協会でも、不用になった人形を引き取り、毎年10月に東京大神宮で開催される「人形感謝際」にて人形供養を行っています。
人形供養の方法として、最も多いのは「お焚き上げ」でしょう。
人形を火によって浄化することで、人形にこめられた魂を天へ還す供養方法です。

 

様々な形の「供養」

前述の和歌山の淡嶋神社では、3月3日に「雛祭(雛流し)」という行事があります。
一般的に知られている「雛祭」とは、女の子の健やかな成長を祈る行事のひとつで、雛人形と桃の花を飾る節句祭りです。
一方、淡嶋神社では、一般的な雛祭を経て役目を終えた雛人形などを集め、持ち主であった女性が人形に願い事を書いて人形とともに舟に乗せ、川へ流すという行事があります。
舟に乗った人形たちは沖へと向かい、神の国へと流れて行くと言われています。
これが淡嶋神社の「雛祭」であり、まさに人形供養のひとつなのです。

針供養も同様で、淡嶋神社では毎年2月8日に、折れたり錆びたりして使えなくなった針の供養を行います。この針供養によって、裁縫をはじめとする家事技術の向上を願うというものです。
家庭で縫い物をする機会が減った現在でも、服飾の分野ではこの針供養が行われているそうです。
高齢の方だと裁縫をしていて、遺品として針が残されている場合も多いでしょう。同じように「供養」が行われているものを調べても良いかもしれません。

人形供養でいえば、日本全国に人形供養を行っている寺社が存在します。
故人の遺品を片づけている際、人形などが出てきたら、まずはお近くの寺社に相談してみると良いでしょう。
なかには日本人形協会のように、郵送による人形供養代行サービスもあります。

また、遺品の「供養」は、なにも人形だけにかぎりません。故人が遺したものには、すべて故人の想いが詰まっています。
最近は前述の「お焚き上げ」を、人形や宗教用品だけでなく、あらゆる遺品に対して行ってくれる寺社もあります。
交通安全祈願の寺社のなかには「車の供養」を受け付けているところもあるようです。しかも供養とともに廃車の手続きも行ってくれる業者もあるとか……。
刃物の町として有名な岐阜県関市では、毎年11月8日(イイハの日=刃物の日)に「包丁供養祭」を開催しています。針供養と同じで、折れたり錆びたりして使えなくなった包丁がこの日に集められます。
それらの包丁は供養のうえ、リサイクルされ新たな包丁に生まれ変わるのです。

業者でいえば、「一般社団法人遺品整理士認定協会」が認定する遺品整理士は、資格取得のカリキュラムのなかで「供養」に関する認識も学びます。
もちろん遺品整理に関する各業者・関連機関との結びつきもあり、処分に困った遺品に関する問い合わせも随時受け付けていますので、人形供養について相談してみるのもひとつの方法かもしれません。

こうした供養には、寺社にお願いする時も当然のことながら、費用がかかります。
まずは先方に相談のうえ、供養の方法とともに費用も確認しましょう。
遺品整理ででは何よりも故人と遺族の気持ちを大切にしながら、遺品についてはしっかりと供養を行いたいものです。

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