遺品整理用語集:生前整理・・・終活・エンディングノート・遺言書

遺品整理用語集:生前整理・・・終活・エンディングノート・遺言書

身内が亡くなったあと、残されたものを仕分け・整理するのが「遺品整理」です。
でも、近年、亡くなってからものを整理するのではなく、生きているうちに身の回りを整理しておく「生前整理」が注目を集めています。

超高齢化・少子化社会を迎えた日本。かつてのような子だくさんの時代には、親の老後の世話や亡くなった後の始末を子供たちで分担することができました。
しかし、現代では一人っ子が珍しくありません。子供に負担はかけられない、というのは親の自然な気持ちでしょう。
そんな事情から、家を片付ける、資産などを整理しておく、自分の墓石・墓地を購入する、葬儀の内容を取り決めておくなど、自分の死後、周りの人が困らないように身辺整理をしておくのが「生前整理」です。

高齢者の間で生前整理が増えています

終活

終活の内容

終活とは「人生の終わりのための活動」の略語で、人が人生の最期を迎えるにあたって行う様々な準備や、人生の総括を意味します。
死と向き合い、最後まで自分らしい人生を送るための準備です。死に対する捉え方は人それぞれですし、また年代によっても違います。つまり、終活は十人十色なのです。

終活ですることは、2種類に分けることができます。1つは残される家族のための活動、もう1つは自分の人生を豊かにするための活動です。

家族のための活動

自分の死後、残された家族の負担を軽減するための活動です。

●断捨離して身の回りをスッキリする

まずは、自分の死後、遺品となる身の回りのもの整理しておきましょう。一気にやる必要はありません。少しずつ整理していきましょう。
近年、親の家の片付けが子供の負担になっていることが注目されていますが、身の回りを整理しておけば、家族の負担は大幅に軽くなります。
また、片付けることによって、無駄なもののない清潔な部屋で快適な生活が送れるというメリットも生まれます。
年齢を重ねるほど、自宅内でものにつまずいたり転んだりするリスクは高くなりますので、シンプル・ライフを心がけるのは大切です。

●相続について明らかにしておく

人が亡くなったあと、最も多いのが遺産争いです。大切な家族が、遺産の分配で揉めるのは出来る限り避けたいところ。そのために、自分の資産を把握しておきましょう。
預金や現金をはじめとする財産目録等を作成し、ローンやクレジットについても明らかにしておきます。また、相続人となる人と十分に話し合っておくことも大切です。

●葬儀やお墓を用意しておく
終活

身内が亡くなって家族が悩むのが、葬儀の形やお墓の問題です。
お葬式は一般葬か家族葬か、宗教は何式で行うのか、誰に知らせるのか、どんな写真を遺影にするのか……人生を締めくくる最後のセレモニーは、理想的な形にしたいもの。最近は、葬儀の生前予約もできるようになっています。

また、お墓や埋葬方法についても考えておきましょう。
代々墓に入りますか? それとも個人墓や夫婦墓を建てますか? 個人でお墓を建てるなら、どんな石を使い、どんな銘を彫り、どんな場所に眠るのかあらかじめ決めておきましょう。
埋葬でなく、海などに遺骨をまく散骨を希望する人も増えています。こういった希望を残しておけば、家族が悩むことがありません。

●施設や介護、制度について知っておく

残念なことですが、年齢を重ねると、体が不自由になったり、痴呆症にかかるケースも出て来ます。そんな時に備え、受けられる制度やサービス、その手続きなどをチェックしておきましょう。
大きな病気になった場合、入院するのか、在宅で医療を受けるのか、延命治療を希望するのかなども重要です。また、施設や介護保険制度についても知っておきたいところですね。
また、もし痴呆症などで判断力が衰えてしまった場合、後見人に法律面や生活面で保護・支援してもらう「成年後見制度」があります。
後見人は家庭裁判所から選任された人がなりますが、誰になって欲しいか希望を伝えることもできます。

自分の人生を豊かにするための活動

終活は、物理的なことばかりではありません。これまでの人生を振り返ってみましょう。

また、残される家族のことを考えたり、友人や知人、今までお世話になった人たちへ思いを致したり、やり残したことや叶わなかった夢などを振り返ってみます。

すると、残された時間のなかで出来ること、出来ないことを把握できるのです。終活で、残りの時間をより豊かに、有効に使いましょう。

終活の時期

終活を始める年齢に決まりはありません。何歳からでも、思い立った時に始めればよいのです。断捨離やミニマリストの影響もあり、20代、30代の若い人でも終活を行っている人もいます。
40代、50代ならば、早い人では子供が独立していますよね。夫婦二人の生活になれば広い家でなくてもよくなるので、小さな家に引っ越しをして新たなスタートを切るのもよいでしょう。
子供たちの幼い頃のものを思い切って整理する機会でもあります。

60代に入り、リタイアした人であれば、まだまだ体が動く年齢なので、葬儀について相談したり、お墓の準備を始めたりするのもいいですね。
70代以降であれば、遺産の整理を急ぎ、また、万一に備えて使える制度などを調べておくとよいでしょう。
それぞれの年代や生活状況によって、柔軟に考えられるといいですね。

以上のような内容を、後述するエンディングノートや遺言書として残しておきましょう。

エンディングノート

「終活」とともに知られるようになったのが「エンディングノート」です。
エンディングノートは、もしものことが起こった時に必要な情報を書き記しておくノートです。葬儀やお墓、資産の相続や形見分け、介護・終末医療の希望などを記しておくことで、遺品整理を行いやすくしてくれます。
そのため、エンディングノートは、生前整理において、遺言書と共に重要な役割を果たすものと言えるでしょう。終活の第一歩としてエンディングノートを書き始めるという人も多いようです。

エンディングノートを書き始めよう

エンディングノートの書き方

エンディングノート

エンディングノートや、その書き方に関するする書籍は書店で販売されています。しかし、エンディングノートに決まりはありません。
必ずしも専用のものを使う必要はなく、市販されている一般的なノートを使ってもよいのです。また、遺品整理や葬儀業者のホームページでダウンロードすることもできます。

最近ではスマートフォン用のエンディングノートアプリも登場しています。エンディングノートに書き記しておくべき項目が組み込まれているので、それに従って内容を埋めていくだけでよいので簡単です。

書いた内容はスマホ本体ではなく、アプリを配信している会社に保存されるため、遺族がスマホからエンディングノートを閲覧することが出来ます。
写真や動画も保存できるので、紙のノートには実現できなかった文章以外の情報が含まれたエンディングノートを作れるわけです。

もちろん、専用アプリを使わず、スマホのメモ帳やワープロソフトで書いておくだけでもよいでしょう。

エンディングノートの内容

エンディングノートには、基本的に何を書いても構いませんが、代表的な内容を挙げてみましょう。

自分自身について

  • 生年月日、本籍地
  • 来歴(自分史、家系図など)
  • マイナンバー
  • 家族や親兄弟の続柄と連絡先
  • 友人・知人の連絡先一覧
  • ゲームやSNSなどインターネット関係のIDやパスワード
  • 遺言書の有無と保管場所

お金について

  • 預貯金のある銀行名や口座番号
  • 不動産
  • 株式
  • 貴金属や美術品、骨董品など資産価値のあるものリスト
  • クレジットカードや公共料金の引き落とし口座情報
  • 年金(基礎年金番号、個人年金に関してなど)
  • 貸しているお金
  • ローンやキャッシング、借りているお金の詳細、担保の有無
  • 保証人など債務の有無
  • 生命保険に加入していれば、会社名、加入商品名など
  • 相続の際に必要な親族一覧

医療や介護について

  • かかりつけの病院と連絡先
  • 病歴、常用薬
  • 延命治療を希望するか
  • 臓器提供、献体を希望するか
  • 希望する介護施設や介護内容
  • 成年後見人について

葬儀・お墓について

  • 希望する葬儀内容(宗派、会場、規模など)
  • 遺影に使いたい写真
  • 葬儀で使いたい音楽
  • 葬儀に参列してほしい人
  • お墓の所在地、墓地の使用権について
  • 希望の納骨方法(散骨など含む)

以上は大まかな例です。
家族とも話し合い、死後に家族が困らないような内容を書き留めておくとよいでしょう。また、重体になった時や物事の判断が難しくなった場合に、家族の方針と行き違いが起こらないよう相談しておくことも大切です。
エンディングノートには法的効力はないものの、死後に関する重要な指針となります。

自身が亡くなったあとのことを考えるのは、気が進まない人も多いでしょう。
ですが、このように見ていくと、終活は決して後ろ向きではないことがお解りいただけるのではないでしょうか。
問題を早めに整理しておけば、悩みが消え、スッキリ身軽に過ごすことができます。
エンディングノートは、気持ちが変わればいつでも修正することができるので、「自分の最期は自分の好きなように演出する」という気持ちで楽しみながら書けるといいですね。

遺言書

エンディングノートと同様の性格を持つものに「遺言書」があります。
どちらも死後のために書くものですが、両者には大きな違いがあります。
それは、遺言書には法的拘束力があることです。
遺言書では、主に遺産の相続について故人の意思を表します。遺産相続については法律で定められていますが、遺言書の内容は法律よりも優先され、故人の遺言を無視した相続を行うことはできません。
遺言書には、それだけの拘束力があるのです。一方、エンディングノートにはこの拘束力がありません。

遺言書

遺言書の目的

遺言書に書かれている内容は、全てに法的拘束力があるわけではありません。遺言書で指定できるのは、主に次の事項です。

  • 財産処分
  • 子どもの認知
  • 相続人の廃除、または廃除の取り消し
  • 相続分の指定
  • 遺産分割方法の指定、または遺産分割の禁止

人が亡くなった後、最も多いのが財産に関する揉めごとです。でも、遺言書を残すことによって、家族間の争いを避けられる可能性があります。また、自分が財産をあげたいと思う人にあげることもできるのです。

遺言書の種類

遺言書は、遺言者が亡くなった後、残された人の権利関係を決める強い効力を持っています。
それだけに、遺言の内容が間違いなく遺言者本人の意思であることが確認できるよう、遺言書は法律に則った方式で作らなくてはなりません。
このことは、民法第960条によって定められています。

遺言書には次の3種類があります。遺言書を法的に有効にするためには、これらのうちいずれかの方式で作成する必要があります。

自筆証書遺言

遺言者が遺言の全文、日付、氏名を自署して押印する遺言書です。必ず自筆で書かなければいけません。他人の代筆も無効です。
自筆証書遺言は、自分で文字が書ける人なら誰でも簡単に作成できます。証人も不要で、遺言書の存在を秘密にすることもできます。

公正証書遺言

公正証書遺言

遺言者が遺言の内容を公証人(公文書を作成する公務員)に伝え、公証役場で作成してもらう遺言書です。
公証人は法律の専門家でもあるので、公正証書遺言は、遺言者の意思にもとづき遺言が有効に行われたことが保証されます。
家庭裁判所の検認が必要なく、ワープロやパソコンで作成されたものでも大丈夫です。
自分で文字が書けない状態にあっても、自身の意思を伝えられる状態であれば誰でも遺言書を作れます。

また、公正証書遺言は公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配もありません。

秘密証書遺言

自筆証書遺言と公正証書遺言の特徴を合わせた形式です。
遺言者本人が書いて封をした遺言書を公証人と証人に提出し、公証人に一定の事項を記入してもらった後、遺言者と証人がそれぞれ署名・捺印します。
ただし、公証人は遺言書の内容をチェックしないので、有効な遺言書になるよう形式に則って開かなくてはなりません。
遺言書はワープロ・パソコンで作成しても大丈夫です。家庭裁判所の検認が必要です。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。